＊ ページ38
始末する？…私たちを？
彼らの会話を盗み聞きしつつ、嫌な汗が背中を伝う。
明らかな緊急事態に、私の脳が警鐘を鳴らした。
どうにかしてこのことをシャオロンたちに伝えたいが、眠っている彼らを起こしてしまうと確実に見知らぬ2人組にも私たちが起きたことが気づかれてしまうだろう。
そうなれば恐らく私たちは殺されてしまう。
正に絶体絶命。
戦闘も出来なければ人も殺せない私が既に誰かを殺しているであろう相手に勝とうだなんて、正直無謀以外の何事でもなかった。
どうしようかと私が頭を悩ませる傍らで、彼らはぽんぽんと会話を続けている。
腰から鋭いナイフを取り出す大柄の男は、私たちから少し離れたロボロを真っ直ぐを見つめていた。
私は彼らにバレないようにきょろきょろと視線を動かす。
私に密着したシャオロンの枕元に置いてある拳銃が、朝日に照らされ不気味に光った。
「…声をあげられないよう、1発でしとめてくださいね」
「分かってる」
彼らがロボロに近づき、見下ろす。
大柄の男の手に収まる大きなナイフが、勢いよく振り下ろされた。
鮮血が、舞う。―――舞う。舞う。
桜の花が舞い散るように。
薔薇の花が咲き乱れるように。
舞う。舞う。
舞う―――――――
「―――――――ｯぎゃ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あぁッッッ！！！！！！？！？！？！？」
大柄の男が鮮血を撒き散らしながら地に伏せた。
細身の男は目を見開き、動揺したように私に視線を向ける。
そして震える手で拳銃を構える私に脅えたように悲鳴を上げ、慌てて身を翻して逃走した。
私の隣でシャオロンが飛び起きるのがわかる。
脚をもつれさせながら逃げる男の脳天に鋭い弓矢が突き刺さり、あっけなく辺りは静かになった。
『…………はッ、…はッ、………………っあ、…………』
手が震える。
冷たい拳銃ががたがたと震え、焦点が定まらない。
息が上手く吸えなくて、視界が霞んだ。
――――――殺した。
人を、殺してしまった。
この手で。この銃で。
私はたしかに今、人を殺したのだ。
『…ヒュッ、っぁ、……ゲホッ………ッハ………』
「………A、深呼吸。…ゆーっくり吸って、吐いてー…」
シャオロンの手がそっと私の背中に触れ、陶器に触れるかのように優しく撫でる。
耳元で囁く少しだけ低い声に、私は少しだけ正気を取り戻した。
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ごはん - 2度目のコメント失礼します!!!今日見たら続編が出ていてとても嬉しい気持ちになりました！！続編の方でも自分のペースで頑張って下さいね!!!楽しみです〜！！ (2021年7月10日 2時) (
レス) id: 7774cb1cfe (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - 狐火さん» ありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです！これからも頑張りますねー！ (2021年7月9日 21時) (レス) id: 7b4b293a35 (このIDを非表示/違反報告)
狐火(プロフ) - 続編おめでとうございます！続編に移ってもずっと応援し続けますので、更新、待ってます！！少しずつ依存し始めてる夢主…良いですね（） (2021年7月9日 21時) (レス) id: a78dc8dbc5 (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - bhさん» 更新お待たせしてすみません。そう言っていただけるなんて本当に嬉しいです！ありがとうございます！これからも頑張りますねー！ (2021年7月9日 19時) (レス) id: 7b4b293a35 (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - ごはんさん» わー！そう言っていただけるなんて光栄です！ありがとうございます！これからも頑張りますー！ (2021年7月9日 19時) (レス) id: 7b4b293a35 (このIDを非表示/違反報告)
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