超、愛してる！２ 【宇野昌磨】

５８話 ページ14

『休憩入りまーす』


黒服さんにそう声をかけ、急いで控え室のテレビをつける


良かった！間に合った・・・次が昌磨だ・・・


昌磨の前の選手の演技を見ながらも、昌磨が無事成功することを祈っていた


昌磨はショートを１位で通過しているので、出番はラスト


「あれ、Aじゃん・・・フィギュア？好きだったっけ？」


『あ、ユリさん・・・ちょっとね』


ふーん、と言いながら後ろで煙草を吸い始めるユリさんに構わずひたすら祈る


黒と赤の衣装に身を包んだ昌磨がリンクに上がり、コーチさんと手を握り合い、覚悟を決めたような顔をして中央まで滑って行く


・・・個性的な音楽とともに演技が始まった


がんばれ


高音を最後に音が止まり、空気が静まり返る


ジャンプの姿勢にはいる昌磨


『がんばれっ』


４回転！！コンビネーション！


決まった・・・と胸を撫で下ろす


でも、まだ気は抜けない・・・


エキゾチックで、キレのある曲調が深い女性の色気がある声に変わり、昌磨の演技や表情もがらっと変わる


後ろでユリさんが、色気のある子・・・まだ１８歳なの・・・！？この子、すごいわねと呟いている


がんばれっ！！


昌磨が跳ぶ度に観客が歓声を上げる


見る人全てを引き込む力が、昌磨にはあると感じた


クライマックスに向けて曲もどんどん情熱的になり昌磨の演技にも熱がこもる


『「あっ！」』


昌磨が着氷に失敗し、転倒する


しかし、直ぐに立ち上がり次のジャンプを跳び、決める


クタクタになって帰ってきた昌磨を思い出す


昌磨ならできるっ・・・！


昌磨の十八番に観客が声を上げ、


ラストのスピンでは、はやくも拍手と歓声が響き渡る


昌磨が、最後のポーズをとる


会場は割れんばかり大歓声


『昌磨、笑ってる・・・』


笑いながら、首の後ろに手を回す昌磨


昌磨が悔しそうに舌を出すのを見てユリさんが驚きながら笑う


それでも結果が出るまで私の心臓はドキドキしたままで、キスクラに座る昌磨を見つめる


１位


その数字を見て、思わず近くにいたユリさんに抱きつく


『ユリさーーーんっ！！』


「え、ちょっとなに！泣いてんの！？」


『良かったーーーーしょーまが表彰台だよ！優勝だよーーー！』


「ちょっと、泣き止んでよ！顔も髪もぐちゃぐちゃになるってば！もー・・・」


きっと私は今、酷い顔をしているのだろう

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