57話 ページ13
「ねーちゃん!おにいちゃんから電話!」
仕事に行く準備をしていると、春樹が私のスマホを持って走ってきた
『あ、ありがと・・・もしもし昌磨?どしたの?』
今アメリカだよね・・・?
昌磨は今ホテルにいるみたい
「あのさ・・・いや・・・あー・・・」
『なに、緊張してんの?』
無言ということは、図星だったんだろう
ショートが一位通過だったから、余計に・・・ってかんじかな
『んー、私はあんまりフィギュアのことよくわかんないけど、ここ三ヶ月くらい、昌磨がすごい頑張ってたの見てたから、これだけは言えるよ』
『努力が全て報われるとは思わない、でも、昌磨の努力は嘘をつかないんじゃない?』
「・・・うん・・・ありがとう」
『はーい・・・これから仕事だけど、昌磨の出番だけは控え室でテレビ越しにだけどちゃんと観るから・・・あっ』
春「もしもし?おにいちゃん?緊張してる時こそ冷静に、だよ」
春樹がするりと私のスマホを取り、兄弟の耳に当てていく
夏「大樹にかっこいいとこ見せてやってよ!全員でみてるからさ!」
秋「俺も見てる!おにいちゃん、帰ってきたら焼肉いこうね!」
冬「かっこわりーとこ俺らに見られたくなかったらしゃんとしろよな!まったく!」
大「今日はおねーちゃんが遅くまで起きててもいいって言ったから見てるね・・・また、一緒に練習してね」
季「おにーたん!がーばれー!」
春樹がすっと、私に戻す
締めろってことね・・・
『・・・て、ことで、みんな応援してるから、じゃーね!』
「・・・うん、ありがとう!」
プツリと切れる前の昌磨の声は、かけてきた時よりも数百倍いい声をしていたと思う
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作者名:カイリ | 作成日時:2019年9月14日 19時