42.どんな言葉よりも ページ42
中堂さんは、私の話を静かに、真剣に聞いてくれた。
『…あ〜!そこが微妙なところなんですよ…!なんて言ったら良いのかわかんないし…法医学って難しいですね?私が難しく考えすぎですかね?』
上手く話そうと思ったのに、なかなかまとまらず、中堂さんに向けてか自分に向けてか分からないような独り言を言う始末。
そんな私を見て、「そうだな。」と言って少し微笑む中堂さん。
『すみません、なんか言ってることがめちゃくちゃになってしまって…』
中堂「心配するな、ちゃんと伝わってる。」
言ってることが、さっき肺についてミコトさんに言ったときと似てて少し面白い。でも、その言葉からはその時とはまた違い、優しい表情や雰囲気が伝わる。
張り詰めた空気が、一瞬にして和んだ。
良かった、中堂さんが私の考えと合ってるか違うかは置いといて、伝わったんだ。そう思えた瞬間だった。
否定や賛成の言葉よりも、心地いいものが身体に流れているような心地がした。
中堂「俺はオフィスに戻るが、Aも戻るか?」
『あ、はい!』
ミコトさんがなぜ私を呼んだかはわからない。説明を求めたのは、ミコトさんの性分なのだろうか。深く考えてしまうと、中堂さんの奥底にあるものを探るためだろうか。
でも、少しでも中堂さんの心にある何かを一瞬でも軽くできたのなら、少しは私もいて良かったのかなと思える。
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作者名:RiO | 作成日時:2018年2月15日 20時