40.屁理屈 ページ40
解剖室に来た中堂さん、ミコトさん、そして私。中堂さんは肺の入ったバケツをほら、と言うように突き出す。
ミコト「ちょっと、これ窃盗ですよ!?」
すると、中堂さんは
中堂「俺は警察のやつらに遺体を閉じて返せ、と言われた。」
と言ってバケツを解剖台の上に置いて、話を続ける。
「だから言われた通りに返した。…だが、取り出した肺を体に戻せとは一言も言われていない。」
と、取った手袋をバケツの方にばんっと投げつけた。
『へ、屁理屈…』
そんな中堂さんに対し、ぽろっと本音が出てしまった。
中堂さんは私の発言を気にせず、解剖台に腰かけ、腕を組んだ。
中堂「プランクトン検査の結果は?」
ミコト「海水の成分は検出されましたが、特にめぼしいものは出ていません。」
ミコトさんは、まだ少し動揺しているような様子であるが、聞かれたことにはちゃんと答えた。
中堂「現場の開催との比較が必要だな。」
ミコト「まだ調べるつもりですか?」
その口ぶりは、ありえない、というようなものだった。
ミコト「中堂さんは個別の案件に深入りするタイプじゃないと思っていました。どうしてそんなに?納得のいく説明をしてください。」
ますます、ここに私がいる意味がわからなくなってきた。
『あの…私は帰った方がいいですかね?お邪魔になってはいませんかね…?』
201人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:RiO | 作成日時:2018年2月15日 20時