転生 ページ1
「ん……眩しい」
強い光が目蓋を擦り抜け、目を刺す。ゆっくり目を開くと、白く清潔な空間が広がっていた。身を起こして周囲を見回せば、空間は主に白い大理石で作られているのが判る。まるで教会や神殿のような重厚な作りの建物だ。所々に蒼い水晶の飾りや金の装飾が目に付く。
蒼い水晶で作られたシンボルと思われる像やピンと張り詰めた空気が、この場所が神聖な場所である事を強く醸し出していた。明るいが窓が無く、外の様子が分からない。ここは何処だ。
しかし、このような場所なんて自分自身の事を良く考えてみれば、そう縁が無い場所であった。俺は、クリスマスを楽しんで大晦日に寺で鐘つきを見て、神社に初詣に行くような、どこの宗教にも所属していない、ごく普通の、これといった特徴の無い一般的な日本人だ。
「うっ」
急に、ツキン、と頭に鋭い痛みが走る。その瞬間、何かが強制的に脳内に流れ込んできたかのような錯覚に陥った。
「……なんだ？」
痛みのあまりに見た幻覚かと思ったが、どうやら何か違うようだ。言葉や文字のような情報が自身の記憶に割り込んで、馴染んだ。
どうやら、この世界の言語と文字が理解出来るようになったらしい。先程までただの文様だと思っていた壁の装飾が、意味のある『文字』の羅列である事が判った。『この世界の名は“マホドーラ”。異形の多い処でござい』『１つだけ魔法が使えるはず』『好きに生きてね』『ようこそ転生者様。此方へどうぞ(矢印)』……何だこれ。ふざけているのか？
未だに台座に座ったままだったのを思い出し、取り敢えずそこから降りる。すると、案内するかのように出口と思われる扉が静かに開いた。
「…………出ろって事か」
扉が開いた瞬間に流れ込んできた、やけに生温い空気と異臭に、ここが日本でないことを嫌でも感じ取れる。
「……(これは、あれだな)」
以前読んでいた物語とよく似た展開に、少し口元が緩んだ。要するに『異世界転移』または『異世界転生』というやつだ。一応、よくあるセオリー通りに自身の過去を思い出してみることにした。
×
俺は『七彩光』。これと言った特徴の無い、大学生だった。容姿は中の上くらいで、背は170cm台。数人の友人が居た。……このぐらいか。
扉を潜る少しの間だけで過去の情報の大体が出てしまった。我ながらぱっとしねーなと苦笑していたら、
「わわっ？！」
ドンッと誰かにぶつかり、身体が蹌踉めく。その、倒れていく感覚に、忘れていた事を思い出した。
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鬼灯(プロフ) - 先に言っておきます、主人公にムカつくのならば、私の考えた設定に見事ハマっております。この主人公、(あるいは数名の登場人物)には、少しイラつくような、不愉快になりそうな要素をいくつか混ぜ込んでおります。主人公の察しが鈍いのもそのせい。(もはや言い訳) (2020年11月28日 12時) (
レス) id: 0ae018eaaf (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯(プロフ) - 蟻さん» コメントありがとうございます！頑張って完成させたいと思います。 (2020年9月27日 0時) (レス) id: 0ae018eaaf (このIDを非表示/違反報告)
蟻 - 続きが気になります！ 時間がある時で大丈夫ですので無理のない更新頑張ってください (2020年9月26日 17時) (レス) id: 25e4f6e788 (このIDを非表示/違反報告)
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