プルサティラ (ページ45)

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あの同窓会の日。

成人式に来なかったAのことだから、きっとまた来ないだろうと考えながら参加した。

同級生の近況も聞きたかったこともあるけど、ただただAに会いたかった。

同級生と話しながら探すこと1時間、大規模な同窓会のせいで気づかなかった。

グラスを持ってテーブルにある料理をジーッと見つめている、会いたかった人。

話しかけたけど、あからさまに迷惑そうな顔をされる。

話すのは何年振りか分からないほどで、幼馴染でも成長したらこんなに距離が空くんだと実感する。

…当たり前だよな。

俺のSNS、全部ブロックしてきたんだから。

何が原因か分からなくても、嫌われていることは確かだし。

綺麗にメイクもヘアセットもしていて、ふわっと香る少しキツい男物の香水の匂い。

…あぁ、フリーじゃないんだな。

こんな綺麗になってるんだからそれもそのはずだよな。

"綺麗になったな"なんて普段言わないことを言っても、まだ迷惑そうな顔。

そうだよな、彼氏がいるなら迷惑に決まってる。

…でも俺たち、幼馴染だよ。

それぐらい許してよ。

左手の薬指、まだ空いてるなら俺が奪いに行きたいけど、数年の間に俺に心を閉ざしてた様子のAにはまだアタックすることは出来ない。

幼稚園の頃の約束、覚えているの俺だけなのかな。

あの時元気よく頷いてくれたのは、まだ無知な子どもだったから？

浮かない返事しかしないAに、俺のことが嫌いか聞いたら"わからなくなるから"っていう返事で。

そのわからなくなるは、どういう意味？

俺たちさ、確かにあの頃好き同士だったよね。

俺の勘違い？

今はもう俺のこと、1ミリとも好きじゃない？

こんなこと言うの、もう遅いのかな。

そそくさと帰ろうとするAを引き止めていると、俺より少し低い身長の男が近づいてきた。

あー、彼氏のお出ましかよ。

見るからに嫉妬してる顔で、あんな束縛男に惚れてるならもう俺の入る隙はないし勝ち目ないな、と思っていた矢先

"海斗、さよなら"

そう言ったAの目は潤んでいて、夜の街の灯りに照らされて宝石みたいにキラキラ光った。

そんな助けてって顔されたら、選択肢はひとつしかなくて。

すぐに元太に連絡を入れて、フットサルでAの連絡先を賭けて勝負を持ちかけた。