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宮近「母さんやめろよそういうこと言うの」
宮近母「だってお嫁さんにしてもらいたいんだもん。どう?うちの海斗。ひねくれてるけど皿洗いはいっちょまえに出来るわよ」
『たしかにそうですね』
宮近「母さん変なこと吹き込むなって。Aも納得すんな。車借りるわ」
宮近母「あら、ふたりでドライブ?いってらっしゃい。」
そそくさと家を出た海斗について行こうとすると、海斗のお母さんに止められた。
宮近母「Aちゃん、ちょっと耳貸して?」
『あ、はい』
"その指輪、婚約ならまだ間に合う?"
そう言って優しく微笑む海斗のお母さん。
『え?』
宮近母「Aちゃんの幸せ、応援させてね。もう娘みたいなものなんだから」
『あの、これは』
宮近母「海斗はいつでもAちゃんのこと待ってるわよ」
『え?』
宮近母「相手は誰であろうと、私と海斗は結婚式には呼んでね」
『あの、』
宮近母「Aちゃんなら誰とでも絶対に幸せになれるわよ。本当に良い子なんだから」
『海斗ママ、私…』
宮近母「ほら、海斗待ってるから行ってあげて?呼び止めちゃってごめんなさいね」
『…はい。じゃあまた今度ゆっくりお邪魔します』
宮近母「今度は元太くんと一緒にご飯でも食べにいらっしゃいね。じゃあ、お幸せにね」
海斗のお母さんは私に甘々で、とっても居心地が良い。
手を振ってお別れして玄関を出ると、エレベーター前でスマホをいじっている海斗がいた。
エレベーターに乗って下がると、駐車場で助手席のドアを開けてくれた。
乗り込むと、ゆっくりと車を走らせた。
『海斗、コンビニは?』
宮近「ん?あぁ」
『何個も通り過ぎてるじゃん。コンビニなんて徒歩で行けるのに何故か車だし』
宮近「そうだね」
『そうだねじゃなくて…』
海斗が運転する姿を見たのは初めてで。
なんだか緊張するのに、海斗はずっと車を真っ直ぐ走らせたまま。
『どこまで行くの?』
宮近「ん、まぁ」
『ねぇ元太待ってるよ』
宮近「俺とふたりでいるの、そんなに嫌なんだ」
『そうじゃなくて…コンビニ行くんでしょ?』
宮近「んー、別にコンビニに用事ないし」
『はい?じゃあどこ行くの?』
宮近「思い出巡り」
『え?』
ゆっくり停まったのは、私たちが通っていた幼稚園の前。
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作者名:愛生 | 作成日時:2022年2月6日 23時