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松田「デタラメじゃないって!なんで姉ちゃんもちゃかも素直にならないの!?」
『いい加減にしてよ』
松田「いい加減にするのは姉ちゃんの方でしょ」
『元太なんか嫌い』
松田「俺も素直にならない姉ちゃんのことなんか嫌いだよ」
宮近「…2人とも落ち着いて。流石に近所迷惑」
松田「ちゃかも素直になりなよ!ばか!あほ!」
宮近「元太、わかったから」
ずっと様子を伺っていたであろう海斗が、ソファーから立ち上がって近づいてくる。
ヒートアップして喧嘩を止められたのは初めてじゃない。
小さい頃もこうして喧嘩になったら海斗が間に入ってくれていた。
まさかこの歳になってまで海斗に止められるとは思っていなかったけれど。
宮近「A」
『…なに』
宮近「俺からもお願い。ちゃんと話したいことある」
『わかった』
"ん、いい子"と頭を撫でてくる手はやっぱり好きで、どこか懐かしい気持ちになる。
『でも、まずご飯作るからその後ね。元太、ご飯作るの手伝って?』
松田「うん!姉ちゃんもちゃかもありがとう!大好き!」
宮近「お前ほんと単純だな」
優しく笑う海斗のことを見ると、嫌でも好きな気持ちが強くなる。
もう婚約してるのに。
海斗にはあんなに綺麗な人がいるのに。
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宮近「元太、Aとコンビニ行ってくるわ」
『え?』
ご飯を作って食べ終えた頃、海斗が急にそんなことを言い始めた。
松田「いってらっしゃーい」
宮近「行こ」
『あ、うん』
海斗の後ろについて実家を出ると、海斗は"1回俺の実家寄っていい?"とエレベーターで違う階のボタンを押した。
海斗の実家は同じマンションの別の階。
玄関のドアを開けると、家の中から海斗のお母さんが出てきた。
海斗は部屋の奥に行ったまま。
宮近母「Aちゃん?お久しぶりね。元気だった?また美人になったわね」
『お久しぶりです。海斗ママこそ変わらずお綺麗です』
宮近母「あら、嬉しい!海斗の奥さんになってくれればお嫁さんとして私の娘にできるのに!」
『ふふっ、私も海斗ママのお世話になりたいです』
宮近母「やだもう可愛い。海斗!もうAちゃんお嫁にしなさい!」
部屋の奥に向かって話すと、海斗が鍵を持って出てきた。
どこか恥ずかしそうで、迷惑そうな顔。
思春期の男の子がお母さんと距離感が掴めてないような雰囲気に似ているかも。
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作者名:愛生 | 作成日時:2022年2月6日 23時