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ようやく隣からいなくなったと思うと、すぐに隣のテーブルから料理を取って持ってきてくれた。





宮近「はい」


『え、生ハム』


宮近「好きだったじゃん。食べるかなって」


『うん、食べる。ありがとう』





餌付けされている気分になりながらも、海斗の隣で食べる。


この人、隣から全然動かないしきっと動く気がない。


男の子と話したことが松倉くんにバレたら、きっとものすごく怒られる。


この会場に松倉くんはいないけど、何かの拍子でバレてしまったら怖い。






宮近「俺のSNS全部ブロックしたでしょ」


『うん』


宮近「なんで?」


『別に』





海斗のアカウントのアイコンやホーム画面が変わるのが辛かった。


彼女とデートしたであろう景色が更新されるSNSが嫌いになった。




彼女からもらったであろうブランドの時計やネクタイピンの写真、そんなものに更新される度に辛くて


私が知らない海斗をこの彼女は知ってるんだと思うと、もう海斗のことを考えるだけで涙が出てきた日々。


そんな日にさよならをしたくて、全部ブロックした。






宮近「元太にAの連絡先聞いても、姉ちゃんから教えんなって脅されたって言ってた」





一応元太に口止めはしていた。


けど、私がブロックしたのは大学2年生の時、松倉くんと付き合い始めた日。


高校の頃はまだ連絡を取ってはいたけれど、大学に入ってからは全然連絡取ってなかったじゃん。


なんでそんなことに拘ってるの?





宮近「俺のこと、そんな嫌い?」


『嫌いじゃないけど』


宮近「けど?」


『…わからなくなるから』






私はちゃんと松倉くんを好きになれているのかな。


心のどこかで海斗を探していないかな。


海斗のことを考えたら頭が痛くなる。





宮近「なにが?」


『色々』


宮近「へぇ」





ここまで聞いたくせに変なところで引く海斗は、昔から何を考えているのか全然分からない。





簡易ステージのようなところで中学の頃の生徒会長だった人が話すためかマイクやスピーカーを用意し始めているのが見える。


もうこの会も終わり。

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作者名:愛生 | 作成日時:2022年2月6日 23時

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