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『今だって、私だけいっぱいいっぱいで、こんな有様だし』
宮近「アルコールのせいもあるだろ」
『海斗のせいだよ。大好きだったのに、ずっと私の隣にいてくれると思ってたのに』
海斗のせいなんかじゃない。
私が気持ちを伝えていれば、何か変わっていたかもしれないし
私が勝手に海斗のことを引きずってただけ。
勝手に距離を取って苦しんでただけ。
なのにこんな酔っ払って八つ当たりして、もう海斗に嫌われちゃうよ。
また海斗がいなくなるなんて嫌だ。
あんなに会いたくなかったのに、今は会えて話していることにどこか安心していて、もう分からないよ。
『海斗のせいでッ…』
宮近「泣くなよ、ブスになるよ」
『そういう意地悪言うところも好きだった』
宮近「…とりあえずここ出るよ、場所変えよう」
『ばなみずぅ…』
宮近「なに鼻水?あー、はいはい」
小さい頃から、海斗は泣き虫な私のためにいつもティッシュを持ち歩いてくれてた。
ティッシュがほしいって言わなくても分かってくれるから、それが嬉しくていつもあえてティッシュを持ち歩かなかった。
今もカバンからティッシュを取り出してくれている海斗を見たら、あの頃の大好きだった気持ちが湧き上がってくる。
宮近「立てる?」
『手』
両手を出して、目の前に立っている海斗に引っ張って立たせてもらう。
目眩みたいにぐらぐらするから、海斗にくっついてお店の外まで歩く。
宮近「寝起き悪くてよく引っ張って起こしてたけど、お前酔ってもそれなんだな」
『だって頭グラグラする』
宮近「飲み過ぎだから」
海斗に支えられながらお店を出て、駅側に歩き出す。
「こんばんは」
宮近「…あ、」
数メートル歩いた時に誰かに声をかけられる。
海斗の知り合いかな?
眠気も酷くて目瞑りながら歩いているから、全然分からないや。
「すいません、俺の彼女がお世話になってます」
その言葉で、サーッと血の気が引くのがわかる。
酔いも一気に覚める、今まで聞いたことがないくらいの低い声。
松倉「A、会社の飲み会なんだよね?」
目を開けると、怒った松倉くんが何故か目の前にいる。
路上駐車している松倉くんの車。
連絡した時に駅前の居酒屋でっていう話もしていたから、きっと迎えに来てくれたんだ。
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作者名:愛生 | 作成日時:2022年2月6日 23時