プルサティラ (ページ16)

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また背もたれに身体を預けて、今度は自分の太ももを両手でペチペチした松倉くん。

松倉「ここ来て」

『やだ恥ずかしい』

松倉「向かい合わせじゃなくていいから」

『重いし嫌だよ』

松倉「いいから、ここ」

『床じゃダメ？』

松倉「わかった、いいよ」

ソファーに脚を開いて座っている松倉くん。

脚の間に入るように床に座ると、後ろから髪を掬い上げるように触られる。

松倉「シャンプー、ちゃんと使ってくれたんだ」

『うん。このシャンプーやっぱり凄くいいね』

松倉「やっぱ一回これ買っちゃったら、もう違うシャンプーは使えないな」

『たしかに』

私の頭に顎を乗せてくると"なんかシャンプーじゃない香りもする。バラ？"と首に顔を埋めてクンクン匂いを嗅いでくる。

『この前くれたパールの入浴剤、使ってみたんだけどいい匂いだしお肌スベスベになったよ』

松倉「お、まじ？」

肩に置かれていた手は徐々に鎖骨あたりから服の中に入ってくる。

『ちょっと』

松倉「なに？」

『手、』

松倉「ん、お肌スベスベなの触んなきゃわかんねぇじゃん」

『わからなくていいから』

松倉くんの手をおさえて、振り向いて目を合わせる。

松倉「Aのことは全部知りたい」

『もう知ってるでしょ？』

松倉「隠してること、沢山ありそうだから」

『ないよ』

松倉「仕事してるAのこと知らないし」

『それは仕方ないじゃん』

松倉「あの同窓会の帰りに一緒にいた男の話とか」

『え、海斗？』

松倉「その名前呼ばないで」

『あのね、海斗はただの幼馴染だよ』

松倉「でも、そいつがいるから俺のこと海斗って呼んでくれないんでしょ？」

確信をついてきて何も言えずに目を逸らすと、松倉くんの手は離れて、同時に少し体重をかけられていた身体も離れた。

松倉「答えられないってことはそういうことだよね」

松倉くんのこと大切にしたいって思ってるのに傷付けてる。

松倉「彼氏より幼馴染が大事なの？」

あの日、海斗について詳しく聞かれなかったから、今日の香水の匂い以外は安心しきっていた。

そんな質問されるなんて思わないし。

『そうじゃないよ、松倉くんの方が』

松倉「松倉くん？」

『…海斗くんが大切だし、ずっと一緒にいたいって思ってるよ』

私が振り向いてそう言うと、松倉くんは深いため息をついて、自分の頭をわしゃわしゃする。