プルサティラ (ページ2)

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ワンピースを脱いでハンガーにかけて、また今度着るねなんて思いながら白のブラウスに水色のレースのマーメイドスカートを着た。

フォーマルっぽくなるように紺色のジャケットを羽織る。

『これならいい？』

松倉「うん。やっぱり可愛いから心配だけど」

『そんなに心配しなくても大丈夫なのに』

バッグに荷物を入れて行こうとすると、松倉くんは目の前に立ちはだかって香水を差し出してくる。

松倉「これ付けて」

『でもこれ松倉くんの』

松倉「だから付けんだよ」

タバコの匂いに混ざった香りは、少しキツいくらいだった。

松倉「今日終わる頃に迎えに行くから」

『わかった、ありがとう。じゃあいってきます』

松倉「いってらっしゃい」

家から送り出してくれたのに、すぐ"電車乗れた？"なんてLINEを送ってくる心配性な松倉くんに返信をした。

本当は送ってくれるって言っていたけれど、会場前でばったり男の子と会ったりなんかしたら…と思って断った。

着いた会場のホテルのクローク前で待ち合わせ。

菜奈「Aこっち！」

『菜奈！』

菜奈「今日無理矢理誘っちゃってごめんね？彼氏さん怒ってなかった？」

『許してくれたから大丈夫だよ』

菜奈「来てくれて本当にありがとう！行こ！」

『うん』

会場に入ると、女性はワンピースやドレスが多くて、男性はスーツ。

やっぱりあのワンピース着たかったかも。

菜奈「飲み物取りに行こ！」

立食パーティー形式で、みんなグラス片手にワイワイ話していて楽しそう。

菜奈「何飲む？」

『じゃあキティで』

料理が沢山並んでいる会場の端のカウンターでバーテンダーさんが作ってくれる。

カクテルを片手に料理を回って見ていると、菜奈が口を開いた。

菜奈「そういえば今日って宮近来てないの？」

『どうだろうね』

菜奈「え、知らないの？幼馴染でしょ？」

『もう連絡取ってないもん』

宮近海斗は私の幼馴染。

そして、私がこの同窓会に来たくなかった最大の理由。

会いたくなくて、話す機会を作りたくなくて成人式だって欠席した私にとって、今回の同窓会は本当に気が乗らない。

菜奈「あんなに好きだったのに」

『関係ないよ。私彼氏いるし』

菜奈「まぁそうだよね」