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松倉「ねぇ、まじでその格好で行くの?」





タバコをふかしながら、私を下から上に舐めるように見てくる。


大学2年の冬に同じサークルに入っていた松倉くんと付き合い始めて、今は社会人2年目。


就職と同時に同棲を初めて、今日は私の中学校の同窓会の日。


私は行きたくなかったけど、中学時代に仲が良かった菜奈から付き添いで来てほしいと頼み込まれた。





『え、変かな?』


松倉「変じゃないけど、それこの前俺と選んだワンピースじゃん」


『そうだよ?』




先週、松倉くんと一緒にショッピングをした時に一目惚れしたワンピース。


お気に入りで、同窓会が開催される場所がホテルだからピッタリだと思って選んだ。


なのに松倉くんは眉間に皺を寄せて、灰皿にタバコを擦り付けて火を消した。





松倉「これは次俺と出かける時までオアズケ」





そう言って前から腕を回して抱きしめるような体勢で背中のファスナーを下ろしてくる。


松倉くんから漂うタバコの匂いが私を包み込む。





『ちょっと…!』





動いて松倉くんの手を阻止すると、かなり怒ってる。





松倉「着替えてきて」


『別にいいじゃん。可愛いし今日着たいもん』


松倉「我儘な子は今日行くの禁止だよ」





付き合ってから分かったことだけど、松倉くんは愛が重いタイプ。


嫉妬で心が直ぐに渦巻いちゃうような人で、今回の同窓会も付き添いだからと言ってもずっと反対してきていた。


"友達の為"、"男の子と話さない"、"二次会以降は参加しない"ということを条件に了承を得られたのは、同窓会の出欠締切の当日だった。





『…松倉くんだって我儘じゃん』


松倉「俺は我儘じゃなくて心配してんの」


『別に心配しなくても、菜奈の付き添いでちょっと顔出すだけだよ?』


松倉「だったら尚更、粧し込まなくてもいいでしょ。とにかくこのワンピースはダメ」


『もー、わかったよ。私だって行きたいわけじゃないしただの付き添いだから着替える!これでいい?』


松倉「ん、ありがと」





関係を崩したくないから、違うと思ったことは言うけれどその分 飲み込める条件は全て飲み込む。


松倉くんの束縛が激しいと思うかもしれないけれど、話せばちゃんと今回みたいにわかってくれる。


多少の我慢はお付き合いをしている以上誰でもあるだろうし、私は松倉くんが好きだから苦じゃない。

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作者名:愛生 | 作成日時:2022年2月6日 23時

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