手当て ページ35
夜8時まで、犯人の推理をしながらバイオリンを弾こうと思い、美術室を使用していいか先生に聞くと、彼は快諾してくれた。
なので、犯人が誰なのかを考えながら楽器を手に取る。
澪奈ちゃんの命を奪った奴...
諏訪さんとかどうだろうか...？自分よりちやほやされている彼女に嫉妬したとか？
宇佐美さんも怪しい。さっきの反応からして何かしらの情報は持っているはずだ。
それから...？誰だ？あの男子生徒はどうだ。
彼はいつも先生からペナルティを聞き出している。
どんなペナルティを課せられるか、知っておくはずがあるということか？
でも可能性として薄そうだ。
その時、扉がガタンと開き、4名の男子生徒らが入ってきた。
突然の出来事に思考が停止した。
「え...？」
「烏間！？...まあいいや、俺たちはここから出るんだよ！」
そう言い、生徒らは奥の部屋に続くドアノブに触ると...
バチと大きな音が出て、サイレンが鳴り出した。
"なんだよこれ！？"
"逃げた方じゃいいんじゃね！？"
場は混乱している。私もただ突っ立っているだけだった。
「残念〜！！！」
いきなり先生が入ってきて、生徒らは絶望の混じる表情を見せる。
「次何か起こしたら、ペナルティだから」
男子生徒達は、先生から逃げるように美術室を出て行った。
最後には、私と先生だけが残った。
「せんせ...手当」
「大丈夫だから、教室戻りなさい」
先生は眉をひそめて、近くの椅子に座った。
「いえ、もどりません。手当、します」
私も負けじと、強い視線を送る。
「...、包帯はそこだ。」
私が引かないことを悟ったのか、包帯が入っているであろう引き出しを指差す。
引き出しを開けると、無事に包帯を見つけ手に取る。
あと、消毒液とガーゼを見つけたのでそれも持っていこう。
「じっと、しててくださいね」
先生の所に行くと、ティッシュに消毒液を染み込ませ傷口に当てた。
「っ！」
傷口に染みたのか、先生は痛そうに顔を歪めた。
「すぐ、終わるので」
ティッシュである程度血を拭い、傷口にガーゼ包帯を巻く。
「きつくとか、ないですか？
消毒して、一応。ガーゼ当ててますが、えと...」
会話が続かなくなって、目を伏せた。
「ああ、ありがとうな」
ゆるゆる、と先生の頬が緩む。
その顔に、私も少�A多瓦靴�
「良かった、です」
多分笑えてたと思う。
せんせー、包帯の巻き方教えてくれてありがとう。
終わり
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作者名：はるさめ | 作成日時：2021年11月26日 0時
