怒り ページ18
「か......ま...、ねえちょっと烏間！！」
「...何？」
諏訪さんに突然呼ばれ、本から顔を上げた。
「あんた話し聞いてなかったの！？
...景山澪奈のことで、何か知らないかって聞いてるの！」
と諏訪さんは言うけれど、
「分からない、なんであんなに、いじめられていたのか」
本当に知らないのだ。
「それは...
「別にさくらも烏間さんもそこまで仲良かったわけじゃないよ
ね？」
諏訪さんが何か言おうとしていた所を、えっと確か宇佐美さんが遮る。
少し考えて、茅野さんは
「..うん...そうかも...
と言った。
「わたしは、友達だった」
自分は友達だったので、そう答える。
そうすると宇佐美さんは怖い顔で、こちらを向いた。
「は？何言って...
「でもアイツ、ドーピングしてたんだろ？
ネットで話題になってたよ」
と、急に話しに割り込んできた甲斐くん。
「あったあった」
「うんうん。
マイボイでも、“景山ドーピング”ってトレンド1位になってたし」
ネット？マイボイ？なにそれ
話しが理解できない。
それに澪奈ちゃんがドーピングなんて、卑怯な真似はしないはずだ。
「あの子ほんとにやってたの？」
「やってたから自 殺したんでしょ〜」
諏訪さん達が笑いながらそう言った。
何が面白いのだろうか、人が1人死んでいるのに。
怒りがふつふつと湧いてくる。
「とにかく、水泳絡みが自 殺の原因ってことで間違いなさそうだな」
「...水泳部の責任、ってわけだ」
「ちょっと待ってよ！
私達別に何もやってないし！
茅野さん、...余計なこと言わないでよ」
茅野さんは教室を出て行く。
茅野さん、糾弾されてて、気の毒だ。
助けた方がいいのか？分からない...何も、分からない
行き場のない怒りを、痛いくらい手を握りしめてやり過ごした。
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作者名：はるさめ | 作成日時：2021年11月26日 0時
