恋模様【安元洋貴】 (ページ11)

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碧さんと別れ、現場に戻った時。

電話が掛かってきた。

「ぅえっ?!」

その相手に思わずガタッと音をたてて立ってしまう。

周りに人が居なくて本当に良かった。

電話の相手は……安元さん。

微かに手は震えてるが出ない訳には行かない。

「……………よし！」

私は緑色のボタンを押した。

「も、もしもし！」

やばっ、噛んだ…。

安元「あ、もしもし安元です。」

「神家です。」

安元「良かった、間違えてなくて。」

安元さんの声は少し焦っているような声だった。

安元「今大丈夫そう？」

「あっはい、全然大丈夫です！」

安元「神家さん、今どこ？」

「今●●スタジオです。」

安元「マジで？………ちょっとお願いがあるんだけども。」

「………え？」

──────────
某スタジオ前

「あっ…！」

安元「本っ当ごめん！」

「いえいえ、間に合いましたか？」

安元「大丈夫大丈夫…。」

どうやら前に私の居たスタジオでアフレコした際、今からの仕事の台本を忘れたらしい。

スタッフさんに貸してもらうことも出来ずににで大変だったらしい。

安元「また今度ご飯奢らせて…」

「えっ、そんな！」

安元「じゃないと気ぃ済まないから。」

「………じゃあまた今度。」

安元「うん、本っ当…ありがとう。え、もしかしてタクシーで来た？」

後ろに止まっているタクシーを見て安元さんは言った。

確かにあれは私が乗ってきたタクシーだ。

「あ、はい。」

安元「………マジかーごめん。金かかってんじゃん。」

「そんな高くないんで大丈夫ですよ！」

安元「いやいや…」

その時、建物のドアが開き人が出てきた。

スタッフの方だろうか。

ス「安元さーん？」

安元「あ、行かねぇと…本っ当ごめんな！また連絡する！」

「はい！頑張ってください!!」

そう言って安元さんは戻って行った。