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＊
「……お前1人なら、どこか遠くに飛ばせるぞ。」
「無駄ですよカイさん。
この能力は空間ではなく人物を指定するので。」
舌打ちが響く。
チャニョルさんが握る私の腕に、彼の震えが伝わってきた。
「お前さ、行動に移す前に言えっつったよね。」
ベッキョンさんが私の頭を小突いた。
確かにそんなことを電話越しで言われたなぁ。
「えー、失敗した時恥ずかしいんで言いません。」
頭の中で、対象を絞っていく。
1人たりとも、漏れがないように。
カイさん、ベッキョンさん、チャニョルさん。
セフンさん、ディオさん、チェンさん、レイさん、スホさん、シウミンさん。
ヘチャン君、ルーカス君、マーク君、ジョンウ君。
ジェヒョン、ウィンウィン。
テンさん、クンさん、ドヨンさん。
ユウタさん、テヨンさん、ジャニオッパ。
「……A、もう後悔しない?」
「はい、テイルさん。」
そしてそっか、と微笑んだテイルさん。
「対象、22人……って多いなぁ。
本当に上手くいかなくても笑わないでくださいね?
時間は……一応10分もあれば大丈夫ですよね。」
「……A。
兄貴は探さなくていいのか?
そのために来たんだろ。」
カイさんが、未だ蹲ったままのジャニオッパの頭を強めにかき混ぜながら私を見た。
「探しますよ。
もう、皆さんのご厄介になる必要もないので。
今後のことは……まぁなんとかなります。
私、結構能力使わなくても大丈夫なんですよ。
多分能力使いまくりの皆さんよりかは、何倍も。」
「どーだか。
……ありがとな、これ返すわ。」
煽るように言ってみせたら、手に何かがねじ込まれた。
見ると、携帯端末のメモリーカードだった。
「それよりカイさん、私からぼったっくった1000₩返してください?」
「帰ったら返す。」
本当だろうか。
まぁ、私が『覚えていたら』その時に問いただすとしよう。
時間がもうない。
「――この、バカ妹。
自己犠牲ばっかして……
…………駄目な兄でごめん、大好きだよ。」
「私もですオッパ、サランヘ。
以上期間、対象に起こる全てを……『引き受ける』。」
宣言した瞬間、猛烈な眠気と共に、頭にもやがかかったような脱力感。
体の力が抜けていくそれに逆らえず私は目を閉じる。
閉じる瞬間、実兄が幻覚の能力を使う時に見える白い靄が見えた気がした。
「――――A!」
遠くで名前が呼ばれたような気がするが……
この声は、『誰だっけ』?
‥‥To be continued
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