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＊
「はー、よくもやってくれたね。
まさか君がこんなことをするとは思ってなかったよ。」
「テイルさんに、どちらか1つを捨ててでも選択をすべき時はあると教わったので。」
あの95年喧嘩騒動の後、君も頭を冷やすべきだと連れて行かれた地下の小さな個室……悪く言えば牢屋のようなものだ。
その『頭を冷やす』はどう考えても無効化で上書きをして能力を使えるようにしろ、としか取れなかったので私はずっとそこに座り込んでいた。
それが昨日の朝のこと。
年下の子たちやジェヒョンがご飯を持ってきてくれる中で色々話をして、その結果私を擁護する立場に着くと申し出てくれたりもした。
そしてこの部屋で食べる2度目の夕ご飯を持ってきてくれたのが彼だった。
「あのヒョンも余計なことを吹き込んだよね今回ばかりは。
どうも、初めまして。
一応NCTのリーダーをやってるテヨンだよ。」
本当は昨日の能力講座で会う筈だったんだけど……と彼は言葉を濁して笑った。
「今何時か分かる?
はいこれ夕ご飯ね、それと消臭剤。」
ありがとうございます、と受け取りながら……え?消臭剤?
見ると夕食のお盆にまるでデザートかのように置かれた、見覚えのある大手メーカーの消臭剤。
「今は丁度20:00を回ったところですね。
それで……これは?」
「え、除菌。
これ、中にアルコール成分入ってるから。
この部屋、一応君が入る前に俺が全部奇麗にしたんだけど、時間経過とともに汚れは積もってくからね。」
奇麗好きなんだろうか、彼も全く同じものを胸ポケットから取り出し自分の周りに吹き付けた。
「で?
結局ジャニの能力は解除しなかった?
今でアレからピッタリ35時間だけど。」
はい、と頷くと馬鹿なことをしたねぇ、と彼が向かいに腰を下ろした。
「それは……私の能力を利用できなくなったからですか。」
「んーん、それもあるけどね。違うよ。
一応俺ら昨日あれからずっと今さっきまで、みんなで話し合い続けたんだけど。
マンネラインが、君の能力をそういう風に利用するのは、俺らが止めようとした兵器化とさして変わらないって訴えてね。」
確かに、その通りだったんだよねぇ、と目の前で息を吐きながら、食べながら聞いてよ、と私のお盆を顎で指した。
「……それで、皆さんは、テヨンさんは、思いとどまりましたか?
私の選択は、間違ってませんでしたか。」
「あぁ、確かに止まった。
ただ、その選択は俺から見れば間違ってるよ。
Aは、人に頼らなさすぎだ。」
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