Pioneer my Way (ページ5)

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1つ、息を吐いた。
もういいだろう、彼らの中で私への誤解は解けたはずだし。
何より私の中で申し訳なさが積もりに積もって圧死しそうだ。

「……私の能力は『無効化』です。
この街にやってきて一息ついていたら、不意に気配を感じたのに姿も何も見えなくて怖くなったので……私の周囲を能力の範囲にしました。
そしたら私の目の前にカイさんが現れて、能力狩りと誤解されたのでこのまま能力を解いたら殺されると思って……気を失ってすぐ能力が解けないように、私に危害を加えようとするもの全てを無効化するように重く能力を残しました。
それで……今は圧倒的に不利なのでずっと能力を使ってて皆さん使えないだけです。
私に危害を加えないなら、すぐにでも解除します。」

「その豹変ぶりは俺たちを安心させるためのフェイクか?」

「お好きに解釈してください。」

私は必要ないと思って彼らへの警戒をやめたが、どうやら彼らにとってそんなことはないようだ。
警戒を解くどころかますます警戒されてしまった。
うーん、些か煽りすぎただろうか。
まぁ私のせいなのは確かなのでひっそりと能力だけ解いておく。

「あ、……一つだけ。
持ち物の地図を拝見したんですが、アレはどこを目指していたんですか?」

もう言うことは言ったので返してくれないかな、と思っていたらディオさんがひっそりと手を挙げた。
私が目を向けると、催促の意が通じたのか続けられた質問は私のこと。

「祖父母の家です。タクシーの運転手さんに行き方を教えてもらってました。」

「あそこ、数年前から空き地なのにか?」

疑わしそうに口を開いたのはセフンさん。

それにしても、空き地?そんなはずはない。
だって、二人が亡くなる3年前まで、頻繁に便りが2人から届いていたから。

「……数年前、って。
仮にそこが今空き地だとして、それはここ1、2年の話のはずなのですが?」

私が余程訝しげな顔をしていたのか、目の前の9人が少しだけざわめく。

「……それはおかしいよ。だってあそこ、少なくとも5年前から人なんて住んでないもん。」

「でもレイさん、祖父からあの住所で3年前まで便りが来ていたんですよ?」

私の発言により静まり返る部屋。
これは明らかに彼らが驚いている証拠であり、嘘をついていない証拠でもあった。

「……おい。能力解け。」

「とうの昔に皆さん解いてますよ。」

立ち上がってこちらへやってくるのはカイさん。
私が答えた瞬間、その手は私の二の腕を乱暴に掴んだ。