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＊
『それで?
NCTに行ったAがわざわざこの端末に何の用?
もしカイに用ならまだ帰ってきてないぞ。』
『ジャニオッパの、能力の解除方法を教えてください。』
送ってすぐ鳴ったのはバイブ音。
着信だ、カイさんのアカウントから。
隣の部屋から一切音がしないので壁は厚そうだが念の為、寝るような自然な動きで布団に潜った。
「……もしもし、ベッキョンさん?」
『お前、何のつもり?』
私が小さな声で応答したことで何かを察したのかあまり声は荒げず、ただ刺々しい響きは残してバッサリと返された返事。
『ジャニに向かってオッパとか、もれなくそっち側ってことだろ。
そんで今更こっちに連絡寄越して何様?』
「すみません、ただオッパとはそういう認識外での個人的な縁なので。
私はあくまでも皆さんに保護されていた1人の何物でもない能力者です。」
正直、能力をあまり好きではないのは事実。
ただ、それを人から強引に奪うのは違うと、私は思う。
しかし、それ相応の理由があるならば、それを聞かずに突っぱねるのも私は違うと思う。
つまり私の今の立場は完全中立なんだ。
『ま、お前が口下手なのは知ってるからあんま言わないけどさ……
必要なことは全部言っとけよ、行動に移す前に。
そんで?お前今能力は?』
「使えますよ、この端末にずっと使ってます。」
正解、と小さく呟くベッキョンさん。
話を聞くと、彼の能力は特定の位置から特定の位置に人や物を移せるものらしく。
その『位置の特定』の為に携帯端末を始め、電子機器に『アクセス』できる特性を備えているようで、それでアクセスされると位置情報以外にもある程度の履歴なら閲覧されてしまうんだとか。
つまり私が能力を使っていなかったらこの連絡を見られていたということだ。
『そんで、ジャニの能力の話ね。
……念の為聞くけど、それ聞いてどうすんの?』
そんなことは決まっている。
「カイさん達はここにいるんですよね?
戻ってないということは瞬間移動が使えないということ。
使えるようにすれば。」
彼らはEXOへ帰れる。
私がオッパの力にどこまで干渉できるかは分からない。
ただ、私はもう守られてばかりいるほど弱くはない。
誰かの弱点になるほど無力でもない。
私に優しく微笑みかけてくれたレイさんを、
私にいつでも駆け寄り手を貸してくれたチェンさんを、
いつも私の隣にそっと寄り添ってくれたカイさんを、助けられるほどの力はあるはずなんだ。
『よしきた任せろ、協力する。』
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