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＊
「皆さん、できましたよ。」
キッチンへ入ってみれば本当に凶器になりそうなものだけが散乱していて、食料や食器は全て無事だったのでただの物取りなんかではないことが嫌でも分かった。
「……ごめん、俺手伝えたのに。」
言いだしっぺのディオさんが私に謝るが、あのまま見守っていたら能力を使わないと立ち上がれなさそうな雰囲気だったのでやっぱり私が代わりを名乗り出て正解だった。
「手伝えてないですよ、大丈夫です。
私は何の怪我もしてないですし、少しは皆さんの力にならせてください。」
「……何の怪我もしてないことはないんだけどね。
その足、僕、朝、言ったよね?」
疲弊はしていても流石、ベッキョンさんにオンマみたいだと言わしめたディオさんだ。
私は今日負傷してないという意味合いで言ったんだけど……
ゆっくり、一単語ずつ区切りながら、ジトリと私の左足を見つめられる。
「あー、ほら、食べましょ皆さん。」
「おらセフナいつまで寝てんだ。」
だいぶ回復したらしいベッキョンさんが横でまだ気絶しているセフンさんを言葉の通り叩き起こす。
曰く、能力の反動で理性の抑えが利かなくなって暴走し始めたからベッキョンさんが気絶させて持って帰ってきただけで、大丈夫なんだとか。
何が大丈夫なのか全く分からなかったが、叩かれたセフンさんが特に何の不調もなさそうに痛いとぼやきながら起き上がって皆さんの心配をし始めたのでまぁいいということなんだろう。
それにしてもこの共用スペースは酷いな。
皆さん疲れてるからか、それとも男所帯だからかあまり気にしないようで。
特に帰ってきた時と変わらない散乱した部屋の散乱した机やら倒れた棚の上やらに座るなりして個人の場所を作り私の作ったキムチとチキンの乗ったご飯とスープとを持って各々食べ始めた。
念の為と大皿の料理を全てご飯の上にだが小分けにしておいてよかった。
シウミンさんが近くの椅子を起こし、埃を払って机にしているのが見えた。
彼は結構奇麗好きなタイプなんだろうか、下にはどこかから拾ってきたのか座布団が収まっている。
まぁかく言う私も、他の人はまだしも自分のパーソナルスペースは結構どうでもいいタイプなので、そこら辺の棚にお皿を置いて立ち食いなのだが。
「……今回、向こうがレイを攫ったならば、俺達が怪我を治療できないのが分かっている筈。
恐らく明日明後日がヤマだろう。
だから――
「――いえ、今日この今がヤマですよ。スホヒョン。」
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