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＊
いつの間にか目の前には3人の男の人。
え、と思わず私の手荷物を見るが石なんて詰まってない。
しかし前を見て固まった。
「……ぐっ、重てぇ!!」
「っ、俺に荷物を!」
何故か私の前を歩く3人の袋の中は全て石になっていた。
前を歩いていた2人が私とカイさんの所まで下がってくる。
その間に彼は自分の荷物を瞬間移動させ、私から荷物をぶんどって手の中から消した。
「これは幻覚の能力……NCTの奴らか。」
「せーいかーい。我ら96Line参上!
なんつって、ハイじゃあカウント開始!
9、8、７……」
残りの荷物も全て飛ばしたところで、小柄で奇抜なミント色の髪をした青年が指を鳴らした。
ともに聞こえたのは不吉なカウントダウン。
「おいA、今すぐ逃げろ。」
「でもあいつ等はコイツを狙わないんだろ?
下手に離して連れてかれたら世話ねぇ。」
「何話してんの!?
3、2、1…………0ッ!!」
と、響く小さめの爆発音とともに――私の左太ももから何かが弾ける。
「っえ――あ"あ"ぁッ!!」
「っ、A!」
駆け抜ける激痛に崩れるのをカイさんが支えてくれる。
「おいテン!」
「うっわやば……!
ごめん、Aを狙ったつもりじゃなかったんだ!!
しょうがないだろドヨナ!
扱いきれるほど使ってないんだから!
あんなに対象4人が固まってたら……」
どうやら能力の誤爆をしたようだった。
痛いし熱いし、意識ごと持っていかれそうだがこれは寧ろ好都合。
戦力になる3人が無傷であるなら、どうにかできる確率はまだあるからだ。
にしてもなんで私に能力を向けたんだ。
彼らは私について3年前までの記憶しかない。
つまり私が能力の発動範囲を決められるようになった時期より前だから、それを知っているはずはないのだ。
「あぁ、Aはまだ自分のを含めて能力についてあまり詳しくなかったんだったね。
教えてあげるよ。
まず、君の能力には発動限界範囲がある。
そして君の能力で無効化できる物理系の能力は、自分の体に直接触れたものだけ。
対してテンの能力は、皮膚に限りなく近いけど空気を爆発させてるからAにも攻撃が行くんだ。」
「ごちゃごちゃうるせえっ!!」
セフンさんが風を巻き起こし、暗かった空――恐らく幻覚の能力のものだろう――が晴れた。
「えっ、クン何でこいつらあんなに近くで能力使えんの!?
これもお前の幻覚?」
「違うよ、分かんない!」
「私だって……、この3年間、ボーっとしてた訳じゃ、ないんですよ。」
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