Pioneer my Way (ページ1)

今日:3 hit、昨日:18 hit、合計:25,559 hit

001 ページ1

＊

目的の駅名が告げられたため、汽車の席を立つ。
先ほどまで世間話をしてくれていた相席のおばあさまにお礼を告げ、汽車を降りた。

目指すは2人が亡くなって以降訪れていない祖父母の家。
この近辺で目撃情報が出たと言われる、兄を探す為の拠点とすることにした。
兄は、この世界の人間の半数程度が生まれつき持っているといわれる超能力を兵器として利用され亡くなった……と言われていた。
しかし知り合いのオッパたちの助力により生きている可能性が出てきた。
その可否を自ら確かめに来たわけだ。
お金は落とされた兄の保険金と、祖父母の死後兄に渡り兄も亡くなった(仮)ことによる相続金。
そして高校時代に貯めたアルバイト代。

これが尽きるまでは頑張って探す予定だ。

目的地までかなり距離があるので、荷物の量も鑑みてタクシーを呼ぶ。

「ハァイお嬢さん。お待たせ、うちのタクシー呼んでくれてありがと。」

数分後、語尾にハートマークが付きそうな感じで降りてきたのは金髪の女性。

「荷物を預かるわ。それで?今日はどこまで?」

まだ場所がいまいちよく分からなかったのでここに行きたいですと、地図を見せた。

「ふーん?OK、任せて。ほら、乗って。」

「そういえば、あなた、能力保持者?」

「え……?」

なんで開口一発目にそんなことを聞かれるんだろう。
怪しさを感じ、聞き返す。

「あ～ごめん。ぶしつけよね。
でも、もし能力保持者なら気を付けて。

あなたの行く方、最近"能力狩り"が横行してるの。
もし持ってるなら、怪しい男には気を付けた方がいいわ。」

「あ、あぁ……そうでしたか。
私の住んでいた地域では聞いたことのない言葉ですね。
ご配慮ありがとうございます。」

いーえ、と艶やかに笑った運転手さん。
車が止まったのは、広い公園の前だった。

「着いたわよ。ここから先は道が行き止まりだからここまでね。
……さっきの地図、貸してもらえる?
今の場所と行き方を書いてあげる。」

頷いて地図を差し出すと、ピンクのボールペンで道順が書き込まれていく。

「はい、じゃお代ね――」

「では、ありがとうございました。」

「いえいえ、またごひいきに～。」

過ぎ去るタクシーを見送って、とりあえず一息つこうと公園のベンチに腰かけて。
気配を感じた。
地図から顔を上げてもその姿は見えない。

ありがとうございますオッパ、早速特訓の成果を発揮できそうです。

私は静かに能力『無効化』を半径1km範囲まで広げた。