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Part102 "決戦前夜" その1 ページ13

瑠璃side



相方の姿を探して射撃訓練所に来てみれば、


バンッバンッバンッ!!!


全ての的の真ん中を撃ち抜いている彼女の姿があった。



「ふぅ...」



元から銃の心得はあったようだが、1週間程でよくここまで上達したものだ。

最低限、自分の身は自分で守れるだろう。


ただ、的を見るその表情は緊張のせいか強ばっていて、余裕はなさそうだった。



「お見事〜」

「っ瑠璃!?」

「よっ!今日はもうそれくらいにしたらどうですか、お嬢様?」

「その呼び方やめなさいよ...」



からかい気味にそう言えば、ご機嫌を損ねてしまったようだ。



「わりぃわりぃ。ほら、これやるよ。」

「あら、気が利くのね。」



先程買ってきたホットココアを渡せば、少し表情が和らいだ。



「それ飲んだら今日は早めに寝ろよ?
明日が正念場なんだからさ。」

「分かってるわ...でも眠れないのよ。」



まぁそりゃそうか...

というか、そんなガチガチに強ばっていたら、眠れるものも眠れないだろう。



「なぁ...全部終わったら、何したい?」

「え?」

「明日のことばっか考えるから緊張すんだよ、もっと未来のこと考えてみよーぜ?」



少し興味があった。

この戦いが終わったら彼女は何を望むのか。



「なんでもいいんだ、
美味しいもの食べるでも旅行するでもなんでも!」

「そうね、それなら...
サッカーの試合とか観にいきたい、かしら?」



サッカー...?



「あぁ、比護さん大好きだもんな!」

「う、うるさいわねっ!」



こうして少し照れて怒っているのを見ると、
彼女も普通の女の子なんだなぁ...と思う。



「じゃあさ、全部終わったら一緒に行こうぜ?」

「は...?」

「俺サッカー好きだし、連れてってやるよ!約束な!」

「ちょっ...もう!ほんと強引なんだから...

でも...ありがとう。」



聞こえるか聞こえないかくらいの声でそう言った彼女は、優しい笑顔を浮かべていた。



「っ...どーいたしまして!

必ずみんなで生きて帰ってこようぜ。
サッカー観に行く約束、絶対だからな?」

「ええ、約束は守るわ。」



その笑顔に少しときめいてしまったのは内緒だ。



「よし、じゃあそろそろ寝ようぜ?」



未来のことを考えていたら、明日はきっと上手くいく気がした。



「そうね、今ならよく眠れる気がするわ。
おやすみなさい。」

「おう、おやすみ。」



どうか、みんなで無事に帰って来れますように。

Part103 "決戦前夜" その2→←Part101 "心強い" (コナンside)



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やっち(プロフ) - こんにちは!とってもお話良かったですよ。終わってしまいましたが続きが読みたいです (2023年1月4日 17時) (レス) @page26 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 110話に誤字がありました。「ぼんやりとしてい彼女」ではなく、「ぼんやりとしている彼女」です。 (2019年6月12日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こだっく | 作成日時:2018年9月16日 21時

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