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＊
「おお花奈ちゃんだ」
直人さんは面白そうに手を叩いているけど
私は何事かと そわそわが止まらない
緊張なんてまるで無し、むしろ堂々としている花奈
「今日は登坂雅紀の誕生日パーティにお越し頂き、
誠にありがとうございます！！」
元気な声がマイクでより大きくなる
「花奈ちゃん全然緊張してないね！」
「声の音量間違ってません？」
ひそひそ話す私と直人さん側で
「あの子かわいいよね」
と真顔の隆二さん
適当に言ってるようにも聞こえるし
本気で言ってるようにも聞こえる
「隆二ダメだよ〜花奈ちゃんは登坂さんのものだから」
はははと私は苦笑い
するとステージ上にやって来た登坂さん
すかさず寄り添う花奈
そして2人は一礼をする
「本日は私、登坂雅紀ためにお集まり頂き心から感謝申し上げます」
そのあと、長く長く、長い
会社の経営方針などを聞くことになった
いつもあまり会見を開かない登坂さんは
今回のこの機会を利用して記者にサービスしているようだ
「そして、今年は新しいことを...
頭の中でため息を着く
登坂さんのスピーチを耳から耳へと聞き流しながら
早く帰りたい
ベットにダイブしたい...
と唱え続けていた
「海外で活動する古くからの友人と手を組んで...
私の興味のない話ばかり
登坂の未来なんて私には縁のない話。
”疲れた”
”体も心も休ませたい”
頭の中はそのことでいっぱいなのに
突然、あるワードが切り裂くように脳内に割り込んできた
「ヨーロッパの貴族である...
ヨーロッパ...
とても、とても
胸騒ぎがする
「まさか...」
と呟いたのは 隆二さんだった
そのまさかだった
「ご紹介します！
シュヴールの公爵でいらっしゃいます、
岩田様です」
一筋のスポットライトは
1人の紳士を映し出した
「岩田剛典です。よろしくお願いします」
世間のつながりは意外と狭かった
記者の前で笑って握手をする
登坂さんと、岩田さん。
まさか2人に関係があったなんて。
一気に騒がしくなった会場に
ひっそりと 黒い静かな像
ステージの脇に見える人影
「臣...」
私だけが気づいた
腕を組んで壁にもたれかかる臣のオーラは
邪悪そのものだった
＊
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作者名：Samantha | 作成日時：2017年2月19日 22時
