#16 ページ16
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pllll
布団に潜ったまま腕だけを伸ばし
枕元にある携帯を手探りで見つける
画面を確認すると
"剛典さん"
の文字がブルーライトと共に浮かんでいる
「はい」
「もしもし、起こした？」
「ううん...大丈夫」
剛典さんと一緒に過ごす時間が長くなって
自然と敬語も無くなった
親しくなればなるほど 記者に追いかけられ
週刊誌には"婚約秒読み"とまで書かれてしまった
それが私にとって都合の良いことがあるとすれば
...あの人は見ているだろうか
少しは嫉妬させられると期待していた
しかしここ数日、ぱったり姿を現さなくなった
臣...
ついこの間までうんざりするくらい付き纏って
私の領域に割り込んで、
決まってあの平然な顔
それが今では顔も忘れちゃうくらい会ってない。
私と剛典さんが本当に婚約すると思って
身を引いたのか
それならそれで、
せいせいした
「A？」
「...」
「A！」
「えっ」
「さっきからずっと呼んでる笑」
「ごめん、なんだっけ」
「今夜、企業の重役達がを集めてホームパーティを開くんだ。もし嫌じゃなければ Aも来て欲しい。
ドレスは用意するよ。
あのネックレスに合うドレスを」
・・・
きっとミス出来ない大切なパーティー
でもそこに剛典さんは私を呼ぶ
そして
つい最近
"君に似合うと思って"
と渡されたのは
見たことの無いくらいゴージャスで
完璧なほどに壮麗な"公爵家の家宝"
「どんな意味を込めて私にこれを...」
剛典さんとの関係はとても曖昧
友達？と聞かれれば、
きっと「違う」と答える
でも
付き合ってるの？と聞かれると
唸って「うん」とは言えない
この曖昧さには理由がある。
とても単純で致命的な問題
それは
彼が一線を踏み込まないということ。
つまり決定的な"何か"をしない
時々それがもどかしく感じて
これが意図的に仕組まれたプレイとか
駆け引きだとか、
焦らされてる、なんて考えられたら
まだマシなんだと思う
...でもきっとどれも違う
「そのとき思い出すのはあの最低男の顔」
ミルクティをストローでかき混ぜる
「やっと言いましたね！
その言葉ずっと聞きたかったです」
花奈は呆れた顔で
サラダボールにフォークを刺す
そして一言
「もう答えは1つしかないです」
皮肉な運命は訪れる
誰でも幸せになれるし
裏を返せば、不幸せにもなる
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作者名：Samantha | 作成日時：2017年2月19日 22時
