見知らぬ女性 ページ4
.
「藤本さん。ロビーにお客様が見えられてますけど。」
受付からの電話にそう告げられて
聞き覚えのない名前に首を傾げた。
....誰だろう？
エレベーターを降りたわたしに
丁寧に頭を下げた女性は
やっぱり見知らぬ顔だった。
「藤本Aさんですよね？」
「・・はい。」
「突然ごめんなさいね。」
「少しお時間いいかしら。」
「・・は..い。」
.
.
会社近くのカフェで
運ばれてきた紅茶を飲みながら
向かいに座る
その初老の女性の指にはめられた
結婚指輪を見つめながら考えていた。
....お得意様の紹介？・・かなぁ。
でも、それだったら
大抵事前に教えてくれるんだけど。
田中と名乗った女性は
「主人に聞いていた通り。」
「可愛い人ね。」
会話のきっかけが掴めなくて
戸惑うわたしに
少女のように屈託なく笑った。
....困った。
あまりにありふれた苗字で
どこのだれだか見当もつかない。
「あら。やだ、ごめんなさい。」
「私まだちゃんと自己紹介してませんでしたね。」
愛想笑いで返すわたしに気づいたその人は
そう言って慌てて
手にしていたカップをカタンと置いた。
「田中昭三の妻です。」
....田中昭三・・さん？
わたしがまだピンときていないのを
悟ったように
その人はもう一度繰り返した。
「田中のおじいちゃん。」
「そう言ったほうがわかるかしら？」
....あ。
.
”田中のおじいちゃん”は
時々
会社の植木の手入れをしに来ていた人だ。
優しい笑顔の
大好きなおじいちゃんだった。
シム君と結婚することになったって
報告したときは
凄く喜んでくれて
何だかあの時はバタバタしてて
それきりになってた。
本社に戻ってきたときは
もう仕事を辞めてしまっていたから
会えなくなって
ガッカリしてたんだ。
「田中さん、元気ですか！？」
「今、どうしてます？」
身を乗り出して聞くと
奥さんは優しい笑顔を浮かべて
静かに答えた。
「主人はね。」
「亡くなったの。」
「半年前のことよ。」
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さっちゃん - 楽しみに待ってます（＾∇＾） (2014年4月18日 6時) (
レス) id: 0fe813b85e (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - とりあえずすっきりした気持ちではありますが、続きはすっごく読みたいです（笑）何章でもお供させていただきます＼(^o^)／ (2014年4月17日 20時) (レス) id: c1415a3808 (このIDを非表示/違反報告)
さとこ(cocoro)(プロフ) - 気長にお待ちしてますね(*´ω｀*) (2014年4月17日 18時) (レス) id: 80d6fc02d0 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 待ってます。(*^^*) (2014年4月17日 18時) (レス) id: 9b7f90ea80 (このIDを非表示/違反報告)
ささら(プロフ) - 楽しみに待っています^_^ (2014年4月17日 5時) (レス) id: d52f03b57f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sigasiga
| 作成日時：2014年1月8日 12時
