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328話 ページ11




 B3と同じくらいは広いだろうかという大きなフロアでたった一人を探し続けた。そして目的としていた人物は唐突に現れる。


 大部屋を出て、廊下に出る。曲がり角を曲がって、電灯の連なる横幅の広い廊下のその先に、ザックとレイが探していたその人がいた。迷い子のようにどこか覚束無い足取りで、廊下の奥へ歩いていこうとするその人こそ、ザックとレイが探していた人物だ。



「A!!」


「おい、A!!」



 レイとザックが叫ぶのはほぼ同時だった。


 白い髪色、どちらかと言うと小柄と言ってもいい背丈に、見覚えのある服装の後ろ姿。そして、レイとザック以外にB7にいる可能性のある人物。


 ピタ、と足を止めた後ろ姿の誰かが、大きなため息をついたように見えた。それからしばらく、背中を向けたままその人物は立ち尽くす。ようやく振り返ったその顔は、やはり。



(A………)



 Aがレイの前から逃げ出してしまったのはついさっきの事だけれど、Aと会うのは随分と久しぶりのように思えた。胸がしまって、言葉に詰まる。ただ、言葉も出せないままに、とにかくAの側へ行こうとレイは足を踏み出した。


 そんなレイを前に、Aはゆるりと首を傾げる。



「……人間だ。だったら、殺さなきゃ」



レイが踏み出しかけた足を止めた。



「A?」



 レイが言ったA自身の名前に、Aは怪しむように目をそばめた。暗い輝きを宿した瞳がレイとザックを捉えると、その瞳にさらに影がおりる。



「……あぁ、やっぱり、来ちゃったんだね」



 Aはレイとザックを冷たい目で眺める。瞳孔が開いた氷の瞳で。Aはレイとザックを無気力な流し目で見ると、ため息を漏らすように物憂げに言葉を放つ。



「……レイ。来ないで、って言ったのに。ザックまで、連れてきて」



 レイは不安な気持ちでAを見つめる。どうもAの様子がおかしい。記憶を取り戻した、それだけでこんなにもおかしくなることがあるだろうか?


 Aの目は、共に行動していた時の、あの友愛の目ではない。希望だとか、そんなものを全て削ぎ落とされてしまったような目。そして、レイとザックを見つめるその目には、言い難い程の憎しみが込められていた。

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リア(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!二度入ってしまったことはお気になさらず!一気読みしてくださったと聞いて嬉しい気持ちでいっぱいです。かなりゆっくりの更新となってしまっておりますが、今後もぜひ読んでくださると嬉しいです! (2021年2月15日 22時) (レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
あや - すみません、二回も同じ文が入ってしまいました(汗) (2021年2月4日 16時) (レス) id: e816ef2773 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 思わず一気読みしてしまうほど面白いです! 次の展開にドキドキです! 更新頑張ってください!  楽しみに待ってます! (2021年2月4日 16時) (レス) id: e816ef2773 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 思わず一気読みしてしまうほど面白いです! 次の展開にドキドキです! 更新頑張ってください!  楽しみに待ってます! (2021年2月4日 16時) (レス) id: e816ef2773 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 黒白の猫さん» コメントありがとうございます!まさか私の書いた文章でそんな風になって貰えるとは……!?(?)ここからの展開もお楽しみいただけると幸いです! (2020年10月13日 19時) (レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2020年7月13日 20時

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