452話 ページ39
啖呵を切るようなザックの言葉にレイは、目の前の現実から目を背けたがっているかのようにさらに強く、ぎゅっと目をつむる。
「……あぁ……!!」
絶望に叫ぶレイを、ザックはやはり冷静な目で見つめていた。
「───でもな、俺は死んでねぇ。わかるだろ……?」
毅然とした声で、ザックは言葉を連ねる。
───ごく当然のことを、なぜ改めて言わなければならない。なぜわからない?わかるだろう。"神様"とやらは殺してやった……しかしザックは、生きている。生きて今もレイを体を抑えつけ、現実味を帯びた金属の冷たさをレイの首筋に突き付けている。
「お前を殺してやるって、言ったのは誰だ!?」
「私の、神様……!」
「───違うっ!!」
ザックは握っていたカマを振り上げて、勢いよく床に突き立てた。レイの首筋のギリギリを突き刺したカマの衝撃に、レイは目を見開いた。その目に恐怖の色がないことだけはわかった。
レイは怯えていない。きっとレイはわかっている、ザックが"今のレイ"を殺したくないことくらい理解しているのだ。
それなのに。一番大事なことがレイにはわかっていないのだ。ザックは息を切らしながら、もどかしさに身を震わせる。なぜ……なぜ伝わらない!?
「───俺だ……」
口をついて出た言葉は切実さを含んでいた、ように思える。
「───俺なんだよ……他の誰でもねぇ、お前の神様でもねぇ……俺が、お前を殺すんだ!」
燻っていた感情を叩きつけるようにザックは叫ぶ。リビングの中に、ザックの声が
絶句するような沈黙の後に、レイは悲しそうに顔を歪めた。
「でも、私は────おかしい……穢れている」
フ、とザックは笑う。
「……そんなこと、誰に向かって言ってんだ?」
笑ったザックの表情には、穢れ一つなく。そこにはただ誇りだけがあった。
「俺は───殺人鬼だ」
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リア(プロフ) - ましゅまろぉさん» はじめまして!コメントありがとうございます。検索では結構埋もれてしまっているはずなのに、見つけてくださって光栄です。応援もいただけてとっても励みになります!ご期待に応えられるようがんばっていきますので、これからもよろしくお願いします!( ¨̮ ) (9月29日 1時) (レス) id: 29a124a552 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろぉ(プロフ) - 初めまして。コメント失礼しますm(*_ _)mこちらの作品を最近見つけて面白くて思わず一気見していました。これから更新お待ちしています。応援してますꉂ📣 (9月21日 22時) (レス) @page38 id: f13e73b476 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - ミミックさん» コメントありがとうございます!長らくお待たせしました。これほど更新が遅れてしまったのに読みに来てもらい、コメントまで!本当に嬉しいです。応援いただきありがとうございます。できるだけ早く続きをだせるよう頑張るので、また読みに来てくれると嬉しいです! (9月13日 12時) (レス) id: 7341473d1c (このIDを非表示/違反報告)
ミミック(プロフ) - 更新再開ありがとうございます。リアさんのペースで頑張ってください。応援してます (9月9日 9時) (レス) @page36 id: 552a25aaf1 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - @高橋_Teretaさん» コメントありがとうございました! そして大変お待たせしてしまい申し訳ありません。もしまだ更新を待ってくれていて、再び読みにきてくださるのであればそれほど嬉しいことは他にありません。完結までは必ず持っていきますので、良ければまたお願い致します。 (9月9日 3時) (レス) id: 29a124a552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リア | 作成日時:2022年8月30日 13時