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432話 ページ19

「でもレイチェル、君だってもう気がついているんだろう。いくら聖書を読んでも、己の間違いに気がついても、本心は変わらないことを!!」



 ダニーの声が、レイを責め立てる。



「心のどこかで、ザックを自分のものにしたいと思っているんだろう!?」



 トドメをさすかのように、言い放ったダニーの言葉を、レイは肯定も否定もしなかった。しかしその沈黙は、ほとんど肯定に近いものだ。



「Aのこともそうだ。彼女は君の神様ではない、それでもどのような形であれ君は自分のものにしたいと思っているはずだ!」



 勢いよく振り返ったダニーの瞳に突然見つめられ、Aは硬直する。思わず見つめ返したダニーの瞳が幸せそうに細められていくのを見て、Aは息を呑んだ───



「───あぁ、最低で最高だね!!」



 喉がカハ、と奇妙な音を立てるまでに裏返った声でダニーは叫ぶ。



「もう真実はくつがえらない。レイチェルはもう戻れないし、どこにも行けない。結果的に、彼女は君たちを騙したんだよ。さぁザック、道を選ぶ時だ。このままここで殺されるか、レイの神様を降りて、ここを出ていくか───どうする?」



 ザックを挑発するように言い放ったダニーが、同じ顔をAにも向けた。



「君もだよ。君を逃すのは惜しいけど、君の心はずっと神父様のものだったし、今はもう縛られていない───君も、ザックと一緒にここを出ていくかい? もちろん、レイチェルをここに置いて、ね」



 その、どこか勝ち誇ったような顔をこれ以上見たくはなかった。───ダニーのことなど、今はどうだっていい。必要なのは、レイの言葉だけだ。



 ザックは、静かに問いかけた。



「……レイ、ダニーの言っていることは本当か?」



 レイは、微笑んだ。



「………………ええ。そうだよ、ザック」

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リア(プロフ) - ましゅまろぉさん» はじめまして!コメントありがとうございます。検索では結構埋もれてしまっているはずなのに、見つけてくださって光栄です。応援もいただけてとっても励みになります!ご期待に応えられるようがんばっていきますので、これからもよろしくお願いします!( ¨̮ ) (9月29日 1時) (レス) id: 29a124a552 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろぉ(プロフ) - 初めまして。コメント失礼しますm(*_ _)mこちらの作品を最近見つけて面白くて思わず一気見していました。これから更新お待ちしています。応援してますꉂ📣 (9月21日 22時) (レス) @page38 id: f13e73b476 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - ミミックさん»  コメントありがとうございます!長らくお待たせしました。これほど更新が遅れてしまったのに読みに来てもらい、コメントまで!本当に嬉しいです。応援いただきありがとうございます。できるだけ早く続きをだせるよう頑張るので、また読みに来てくれると嬉しいです! (9月13日 12時) (レス) id: 7341473d1c (このIDを非表示/違反報告)
ミミック(プロフ) - 更新再開ありがとうございます。リアさんのペースで頑張ってください。応援してます (9月9日 9時) (レス) @page36 id: 552a25aaf1 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - @高橋_Teretaさん» コメントありがとうございました! そして大変お待たせしてしまい申し訳ありません。もしまだ更新を待ってくれていて、再び読みにきてくださるのであればそれほど嬉しいことは他にありません。完結までは必ず持っていきますので、良ければまたお願い致します。 (9月9日 3時) (レス) id: 29a124a552 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2022年8月30日 13時

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