431話 ページ18
「どういうことなんだよ！ ここにきて、お前のフロアで……俺は、俺たちは、お前に殺されんのか？」
「───違う。違うの、それは違う」
ザックに問われて、レイの瞳は揺らぎ始める。弁解の色を宿す瞳を見て、ダニーは苛立ちのままに舌打ちをした。
「ねぇ、レイチェル、もう嘘はいけないよ。わかってくれよ。僕、君の頭を撃ち抜きたくない」
「おい！」
話に割り込むなと言わんばかりにザックがダニーに掴みかかろうとするが、ダニーは勢いよく立ち上がってザックを振り払う。
「うるさい、黙れ！ 言っただろう、僕だって必死なんだと！ ここで彼女にわからせてあげないと……それに、お前だって知りたいだろう！？ レイチェルは、自分の理想の家族を求めて親を殺した女の子だ。僕はそんな彼女のカウンセラーだった。そして彼女を、僕が頼んでこのフロアの住人にした。まぁ、神父様はあまり気が進まなかったようだけど、僕は彼女なら大丈夫だと思った。それになにより、彼女の瞳を……彼女の永遠の孤独を、どうしても守ってあげたかったんだ」
真剣に語り続けるダニーの言葉に、嘘がないことは何となくわかってしまった。
ザックはまだ違和感が残るような顔をしているが、Aにはわかった───ダニーが、このビルにおいてそれほどの権限を持っていることも、ダニーが神父を何としても説得してみせようとするほどにレイに執着していることも。
「でも、彼女の心は壊れてしまった。知らない間に、この部屋に置かれた聖書の一冊で……ね。フロアの人間として使い物にならない君を配置することを、さすがに神父様は許してはくれなかったよ。……ねぇ、レイチェル、冷静な君が、どうしてあんなにも心を乱したの……？」
しゃべり続けていたダニーが、レイに物憂げな瞳を向ける。レイの目は、ダニーが話し続ける間に、完全に死んでしまった。もう、何も映さない、一つも揺らがないレイの瞳。瞬きもせずに、レイがゆっくりと口を開く。
「……私は、私の理想のものが欲しかった。でないと許せなかった。でも、聖書には書いていた……本当に、許されないのは私だったの」
「あはは、だから普通の、清い、穢れのない人間のフリをして死のうとしたんだね！ それがザック、お前ならレイチェルはできると思ったんだ！ 馬鹿のくせに、神に誓って、あまつさえ、彼女の神様となったお前なら！」
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リア(プロフ) - ましゅまろぉさん» はじめまして！コメントありがとうございます。検索では結構埋もれてしまっているはずなのに、見つけてくださって光栄です。応援もいただけてとっても励みになります！ご期待に応えられるようがんばっていきますので、これからもよろしくお願いします！( ¨̮ ) (9月29日 1時) (
レス) id: 29a124a552 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろぉ(プロフ) - 初めまして。コメント失礼しますm(*_ _)mこちらの作品を最近見つけて面白くて思わず一気見していました。これから更新お待ちしています。応援してますꉂ📣 (9月21日 22時) (レス) @page38 id: f13e73b476 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - ミミックさん» コメントありがとうございます！長らくお待たせしました。これほど更新が遅れてしまったのに読みに来てもらい、コメントまで！本当に嬉しいです。応援いただきありがとうございます。できるだけ早く続きをだせるよう頑張るので、また読みに来てくれると嬉しいです！ (9月13日 12時) (レス) id: 7341473d1c (このIDを非表示/違反報告)
ミミック(プロフ) - 更新再開ありがとうございます。リアさんのペースで頑張ってください。応援してます (9月9日 9時) (レス) @page36 id: 552a25aaf1 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - @高橋_Teretaさん» コメントありがとうございました！ そして大変お待たせしてしまい申し訳ありません。もしまだ更新を待ってくれていて、再び読みにきてくださるのであればそれほど嬉しいことは他にありません。完結までは必ず持っていきますので、良ければまたお願い致します。 (9月9日 3時) (レス) id: 29a124a552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2022年8月30日 13時
