235話 ページ9
「素質────それは、私の実験において、『試練を与える者』になれるかもしれないというものだ。君がこの場所に来た時、君は全身に血を浴びていたな。その時点で、私は君にその能力があると判断した」
Aはグレイ神父の話を聞きながらも、あまりよく理解できないままに、ただグレイ神父を見上げていた。
(わたしに────素質がある？ 『試練を与える者』としての能力が……？ 『試練を与える者』って、なんのことだろう……)
Aが頭の中でグレイ神父の言葉を反芻していると、グレイ神父が次の言葉を放つ。
「A。君は、どうしたいのか」
その問いは、単純なものだった。Aに、A自身の意志を問うもの。今後の在り方について。だとすれば、決まっている。
脳内に閃く、あのナイフの輝きを思い出す。
そう、わたしは────
「……殺したい。人間を殺したい。人間は殺さないといけない。もう躊躇しない。後悔もしない。ただ殺したい。それだけです」
そう言い放って、ぎゅっと握りしめた手の中に、今はナイフはないけれど。それでも、ナイフを握っているような感覚と共に、高揚感にも似た激しい感情が蘇る。
「……そうか」
グレイ神父はそれだけ言うと、Aに背を向けた。ついに追い出されるのか、とAは身を固くしたが、グレイ神父は司教台の前で再びAを振り返った。
「やはり、君には素質があるようだ」
グレイ神父がそう言った、その言葉にAが首をかしげたその瞬間だった。
窓の外で雲に隠れていた月があらわになったのだろうか、ステンドグラスが神秘的なまでに輝いて聖堂の中を照らしだす。眩しさに目を細め、手をかざしたAが見上げたグレイ神父の姿は、今まで神など一度も信じていなかったAに、神の存在を思わせるほどに神々しかった。
そんなグレイ神父に目を奪われ、また言葉を失い立ちつくすAに、グレイ神父は手をさし伸ばし、そして言った。
「A────私の天使になる気はないか？」
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リア(プロフ) - わごむごむさん» コメントありがとうございます！まだまだ未熟なので上手く壊れていく様子が描写できているかが不安なところですが、ここから先もどんどん皆が壊れていきますよ…！よろしければ続きも読んでいただけると嬉しいです(´∀`) (2019年9月19日 20時) (
レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
わごむごむ(プロフ) - 皆がどんどん壊れて行く感じがたまりませんなぁー (2019年9月17日 1時) (レス) id: 10a6ab8e26 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます！夢主の過去は書くうちにどんどん重くなってしまいました(^^; もっとやってもいいのですか！それなら！(違うそうじゃない)責任を押し付ける夢主は私自身書きながらくすりとしてしまいました(´ω｀) (2019年7月24日 21時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 夢主ちゃんの過去が重すぎて…好きです←いいぞもっとやれ(( さりげなく責任をダニー先生に押し付ける夢主ちゃんも好きです(語彙力) (2019年7月23日 18時) (レス) id: 0ad758797f (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - キリンの妖精、キリンロングさん» コメントありがとうございます！まだまだつたない文章ですが、面白いと言って下さり嬉しいです！とても励みになります(*´∀｀*)これからも楽しんでいただけるよう更新していくので、よろしくお願いします(*’ω’*) (2019年7月11日 19時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2019年6月16日 19時
