234話 ページ8
シャワーを浴びると、Aについていた血は全て綺麗に洗い流されていた。さすがにもう一度血が着いた服を着る気にはなれず、新しい服を着ると、Aが人を殺した形跡はさっぱりなくなってしまった。
その事にモヤモヤとした気持ちをかかえながらも、Aは言われた通りに聖堂に向かっていた。
シャワーを浴びて、血を洗い流したことで少し気持ちは落ち着いていた。やはり、殴られた傷は痛かったし、シャワーの水は傷口に滲みたけれど。
ふと、昼間に教会にやってきた男のことを思い出した。あの男から逃げるために、教会から逃げ出してしまった。あの男がその後どうなったのかは分からないが、教会は昼間の喧騒などなかったかのようにしんとしていて。
Aは立ち止まり、ちらりと墓場の方を見た。少し年下くらいに見える墓守の少年が、墓穴を掘っている姿が想像できるような気がする。そこにある墓石が、一つ増えているような────そこまでで、Aは考えるのをやめた。
(だって、どうでもいい)
それだけの言葉で片付けると、Aは再び歩き出す。
月は雲に隠れていた。教会は、不気味な程に静まり返っていて木々の隙間を抜けていく風の音が獣の遠吠えのようにうねる。そんな中、Aは聖堂の扉を開いた。
「……来たか」
うつむいたまま聖堂の入口に立ったAの方を、グレイ神父が振り返る。
「そんな所に立っていないで、こちらに来なさい」
「どうして……どうして神父様は、わたしに優しくしてくれるのですか」
グレイ神父の言葉を遮って、Aはそう問うた。グレイ神父はしばし口をつぐむ。長いような、短いような沈黙の後、グレイ神父はAに向かってゆっくりと歩き出した。
「A。私は君に素質を感じていると言ったな」
「……えぇ、確かに。しかし、なんの素質なのかは教えられていません」
Aが言葉を選びながらそう言うと、グレイ神父はAの前で立ち止まり、姿勢を伸ばしたままAを見下ろした。
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リア(プロフ) - わごむごむさん» コメントありがとうございます！まだまだ未熟なので上手く壊れていく様子が描写できているかが不安なところですが、ここから先もどんどん皆が壊れていきますよ…！よろしければ続きも読んでいただけると嬉しいです(´∀`) (2019年9月19日 20時) (
レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
わごむごむ(プロフ) - 皆がどんどん壊れて行く感じがたまりませんなぁー (2019年9月17日 1時) (レス) id: 10a6ab8e26 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます！夢主の過去は書くうちにどんどん重くなってしまいました(^^; もっとやってもいいのですか！それなら！(違うそうじゃない)責任を押し付ける夢主は私自身書きながらくすりとしてしまいました(´ω｀) (2019年7月24日 21時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 夢主ちゃんの過去が重すぎて…好きです←いいぞもっとやれ(( さりげなく責任をダニー先生に押し付ける夢主ちゃんも好きです(語彙力) (2019年7月23日 18時) (レス) id: 0ad758797f (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - キリンの妖精、キリンロングさん» コメントありがとうございます！まだまだつたない文章ですが、面白いと言って下さり嬉しいです！とても励みになります(*´∀｀*)これからも楽しんでいただけるよう更新していくので、よろしくお願いします(*’ω’*) (2019年7月11日 19時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2019年6月16日 19時
