264話 ページ38
「はやく、薬を探しにいかないと……A、ザックのこと、お願い」
「……わかっ、た……」
レイの頼みに、Aは承諾はしたものの、快諾したわけではなかった。皮肉なことに、先ほど蛇を斬り裂いたことで少し殺意が収まっていた。しかし、それでも溢れる感情と欲望に吐き気すら感じる。
(また、離れて座らないと……)
そんなことを考えていると、レイが意を決したかのように立ち上がった。薬を探すために、歩きだそうとする。
「おい」
その瞬間、唐突に目を開けたザックが力を振り絞ってレイの腕を掴んだ。
「なに……?」
聞き返したレイの手に、ザックはナイフを渡した。錆びた刃、汚れた持ち手。手入れはされていないが、使い込まれたそれを、自分の代わりだ、と言う様に握らせる。
「持ってけ……まぁ、てめぇが使えるとは……思えねぇ、けどな」
「……うん」
レイは静かにナイフを受け取った。そして、それを見つめて、再び決意をその目に宿す。
ザックは再び意識を落としたらしい、レイの腕をそっと離し、目を閉じる。
レイは鋭い目で回廊の先を見据えた。そして、ステンドグラスの光の中を、駆け足に進んで行った。
Aは、そんなレイの姿を見つめて。
「……頑張れ、レイ。わたしも────」
と、呟いた。
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リア(プロフ) - わごむごむさん» コメントありがとうございます!まだまだ未熟なので上手く壊れていく様子が描写できているかが不安なところですが、ここから先もどんどん皆が壊れていきますよ…!よろしければ続きも読んでいただけると嬉しいです(´∀`) (2019年9月19日 20時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
わごむごむ(プロフ) - 皆がどんどん壊れて行く感じがたまりませんなぁー (2019年9月17日 1時) (レス) id: 10a6ab8e26 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます!夢主の過去は書くうちにどんどん重くなってしまいました(^^; もっとやってもいいのですか!それなら!(違うそうじゃない)責任を押し付ける夢主は私自身書きながらくすりとしてしまいました(´ω`) (2019年7月24日 21時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 夢主ちゃんの過去が重すぎて…好きです←いいぞもっとやれ(( さりげなく責任をダニー先生に押し付ける夢主ちゃんも好きです(語彙力) (2019年7月23日 18時) (レス) id: 0ad758797f (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - キリンの妖精、キリンロングさん» コメントありがとうございます!まだまだつたない文章ですが、面白いと言って下さり嬉しいです!とても励みになります(*´∀`*)これからも楽しんでいただけるよう更新していくので、よろしくお願いします(*’ω’*) (2019年7月11日 19時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リア | 作成日時:2019年6月16日 19時