259話 ページ33
「おいっ、A……！？」
ザックが上ずった声をあげた。Aは何も言わず、ザックの元にたどり着くと、今まさに鎌首をもたげてザックに飛びかかろうとしていた蛇の胴体を切り裂く。Aはザックにちらりを視線を向けた。
「……早く」
ただ、それだけ言うと、再び飛びかかってきた蛇にナイフを突きつけた。ザックは何か言いたいことがあったようだが、とにかく逃げなければならない。再びザックが前に向き直ると、何かを目撃したかのように息をのんだ。
「あいつ……ふざけんなよっ……」
小声で呟くと、ザックは引きずっていたカマを持ち上げる。何事か、とAがそちらを見ると、次の扉の前に立っているレイの頭上に、白い巨大な蛇が迫っている光景が目に飛び込んだ。しかも、レイは威圧感を放つそれに気づく様子はなく、ヘビは今にもレイに食いつこうとしている。
「ああ、もう……走れねぇって、言ってんのによッ……！」
悪態をつくと、ザックは振り絞るように走り出した。先ほどまでは引きずったままだったカマを渾身の力で振り上げる。ナイフで一突きするだけでは足りないであろう、巨大な蛇。その身体が、カマによって斬りつけられた。蛇はシャーッと言う音を放ち、倒れ込む。そしてそのまま息絶えた。
「……ふざけ、んなよ。俺は……今、走れねぇし、カマを使うのも、ダルいんだ。無理、させんじゃねーよ……」
怒り狂っているはずなのに、まるで覇気のないザックの声は、Aの耳にも届いた。途切れ途切れに話すザックの口からは荒い息が漏れ、吐いているのか、吸っているのかも分からないほどに乱れている。まともな呼吸とは思えない。そして、無理をしたせいで開いたらしい傷口からは、再び血が溢れだしていた。
「ザック、血が……」
「んなことは後でいい。早く行くぞ……！ A、お前も来い！」
二人が扉を開けたのを見て、Aは蛇を牽制するのをやめて、二人の元へ駆け出した。蛇たちが追ってくる気配はしたが、Aには追いつけない。そのまま扉の中へ飛び込むと、すばやく扉を閉めて、蛇たちを閉め出した。
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リア(プロフ) - わごむごむさん» コメントありがとうございます！まだまだ未熟なので上手く壊れていく様子が描写できているかが不安なところですが、ここから先もどんどん皆が壊れていきますよ…！よろしければ続きも読んでいただけると嬉しいです(´∀`) (2019年9月19日 20時) (
レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
わごむごむ(プロフ) - 皆がどんどん壊れて行く感じがたまりませんなぁー (2019年9月17日 1時) (レス) id: 10a6ab8e26 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます！夢主の過去は書くうちにどんどん重くなってしまいました(^^; もっとやってもいいのですか！それなら！(違うそうじゃない)責任を押し付ける夢主は私自身書きながらくすりとしてしまいました(´ω｀) (2019年7月24日 21時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 夢主ちゃんの過去が重すぎて…好きです←いいぞもっとやれ(( さりげなく責任をダニー先生に押し付ける夢主ちゃんも好きです(語彙力) (2019年7月23日 18時) (レス) id: 0ad758797f (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - キリンの妖精、キリンロングさん» コメントありがとうございます！まだまだつたない文章ですが、面白いと言って下さり嬉しいです！とても励みになります(*´∀｀*)これからも楽しんでいただけるよう更新していくので、よろしくお願いします(*’ω’*) (2019年7月11日 19時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2019年6月16日 19時
