253話 ページ27
「ねぇ、A……先生は何か言ってた？」
レイの問いかけに、Aの脳裏にはあの不気味な義眼が蘇る。
ザックを救うための薬をやると言われた。その条件として、キャシーに渡された薬を体の中に入れるように言われた。
記憶を取り戻すという薬は本物だった。思い出したくなかった忌まわしい過去。
「……レイを渡せば、ザックを助ける薬をあげる、って言われたよ。もちろん断ったけどね」
真実など話せる訳もなく、Aは嘘をついた。目を合わせるのは気まずくて、Aはふいと視線を逸らす。
「……そう」
レイは軽くうつむいた。三人の間では重苦しい空気が広がる。そんな中、次に口を開いたのはザックだった。
「それよか、お前、ちゃんと生きて帰ってきたな」
その口調と台詞は、ザックにしては珍しく仄かに優しいものだった。驚いたようにレイは目を見開き、その顔に一瞬嬉しそうななにかが浮かび上がる。しかし、その感情を覆い隠すように、レイはすぐに暗い顔に戻ってしまった。
「……あ？どうした？」
「……ごめんなさい。B5にあった薬が、全部なくなってた」
落ち込むレイの言葉に対し、ザックは他人事のように軽くこたえる。
「ああ、ダニーの野郎が、薬を持ってるみたいなことを言ってやがったらしいからな」
「やっぱり、先生が……」
「つーか、そんなことはどうでもいいけどよ。B6にはちゃんと行ったのかよ？言われたもんは、持ってきたのか？」
ザックの問いに、レイはこくりと頷いて、鞄の中からゆっくりとさびたナイフを取り出した。
「……これ、でいいの？」
「おお。それがありゃあ、十分だ。おい、貸せよ、これなら、思うように使える」
「そのナイフは、ザックのもの？」
「あぁ、そうだ。元はこのカマじゃなくて、このナイフが俺の持ってたもんなんだよ」
レイはナイフを眺めながら、じゃああのカマは誰かから支給されたものなのだろうか、などと考える。そうしているうちに、ザックはナイフを握りしめた。
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リア(プロフ) - わごむごむさん» コメントありがとうございます！まだまだ未熟なので上手く壊れていく様子が描写できているかが不安なところですが、ここから先もどんどん皆が壊れていきますよ…！よろしければ続きも読んでいただけると嬉しいです(´∀`) (2019年9月19日 20時) (
レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
わごむごむ(プロフ) - 皆がどんどん壊れて行く感じがたまりませんなぁー (2019年9月17日 1時) (レス) id: 10a6ab8e26 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます！夢主の過去は書くうちにどんどん重くなってしまいました(^^; もっとやってもいいのですか！それなら！(違うそうじゃない)責任を押し付ける夢主は私自身書きながらくすりとしてしまいました(´ω｀) (2019年7月24日 21時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 夢主ちゃんの過去が重すぎて…好きです←いいぞもっとやれ(( さりげなく責任をダニー先生に押し付ける夢主ちゃんも好きです(語彙力) (2019年7月23日 18時) (レス) id: 0ad758797f (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - キリンの妖精、キリンロングさん» コメントありがとうございます！まだまだつたない文章ですが、面白いと言って下さり嬉しいです！とても励みになります(*´∀｀*)これからも楽しんでいただけるよう更新していくので、よろしくお願いします(*’ω’*) (2019年7月11日 19時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2019年6月16日 19時
