249話 ページ23
グレイに背を向けて、その場を立ち去ろうとしたレイだったが、その背中に向けて、制圧するような大声がかけられた。
「待ちなさい」
レイは突然の大声に肩を跳ねさせて反射的にグレイの方を振り返った。はやくザックとAのところに戻りたいのに、何故邪魔してくるのだろう。
と、レイは自分の体が動かなくなっていることに気がついた。まるで、催眠術にかかったかのように。そんなレイに、グレイは問い詰めるように一歩ずつ近づいて来ながら、低い声で話し続ける。
「私は、ずっと君の行動を見ていた。ここの歯車を狂わせている君がどんな存在なのか、私は興味がわいたのだ。それが悪影響を及ぼすものであれば、裁きを下さなければならない。ただ、ザックの薬を取りに行く姿には、私は少し希望を持った……」
そして、グレイは悲しげに首を振る。
「しかし、それも間違いであったようだ……。君の行動は、あまりにも身勝手で、容赦がなさすぎる。それに君は、最初に答えていたな。なぜ、ザックを生かそうとするか……それは己を殺して欲しいからだと」
グレイは今やレイの目の鼻の先に来ていた。そして、厳かな口調で告げる。
「あぁ、レイチェル・ガードナー……、君の行動の全ては、自己愛に違いないのだ」
「……たしかに、私はザックに私を殺してほしいと思ってる。けど、それだけじゃない……。ザックは、私に、私を殺してくれることを神様に誓ってくれたから」
レイは反論しようと口を開いたが、口から滑りでる言葉は空回りしたかのように、全く力強さがない。心細げな反論に、グレイは呆れた顔を見せる。
「レイチェル・ガードナー。君は、ザックが神に誓ってくれたと言ったが────誓いをたてたとして、その誓いを神が選ぶか君には分かるのかね。他の者が同じ誓いをたてたとして、どちらを選ぶからは神の御心次第ではないかと思わんか？もし神の御心が君の願いと違った時……君はどうする？」
「…………」
「失礼、酷な質問だっただろうか」
黙り込んでしまったレイを見下ろし、グレイは軽く咳払いをする。その瞬間、またあの奇妙なにおいがレイの周りを包み込んだ。甘い、強烈なにおい。レイの意識は、また夢の中に落ちるかのように溶けていく。
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リア(プロフ) - わごむごむさん» コメントありがとうございます！まだまだ未熟なので上手く壊れていく様子が描写できているかが不安なところですが、ここから先もどんどん皆が壊れていきますよ…！よろしければ続きも読んでいただけると嬉しいです(´∀`) (2019年9月19日 20時) (
レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
わごむごむ(プロフ) - 皆がどんどん壊れて行く感じがたまりませんなぁー (2019年9月17日 1時) (レス) id: 10a6ab8e26 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます！夢主の過去は書くうちにどんどん重くなってしまいました(^^; もっとやってもいいのですか！それなら！(違うそうじゃない)責任を押し付ける夢主は私自身書きながらくすりとしてしまいました(´ω｀) (2019年7月24日 21時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 夢主ちゃんの過去が重すぎて…好きです←いいぞもっとやれ(( さりげなく責任をダニー先生に押し付ける夢主ちゃんも好きです(語彙力) (2019年7月23日 18時) (レス) id: 0ad758797f (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - キリンの妖精、キリンロングさん» コメントありがとうございます！まだまだつたない文章ですが、面白いと言って下さり嬉しいです！とても励みになります(*´∀｀*)これからも楽しんでいただけるよう更新していくので、よろしくお願いします(*’ω’*) (2019年7月11日 19時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2019年6月16日 19時
