245話 ページ19
B2でAが記憶を取り戻し、ザックに刃をむけていたことなど知る由もないレイは、グレイに連れられて、B6に降り立っていた。
相変わらず悪臭に満ちているけれど、あの強烈な甘い匂いはもう漂っていない。
「さぁ、B6についたぞ。ザックのフロアは、彼に似ていて複雑ではない。急ぎなさい。私はここで待っている」
「ええ……」
グレイの言葉に、上の空で返事を返し、レイは頭の中でザックの言葉を反芻する。
"B6で、俺がテメェを一番最初に見つけた場所。そん中にあるものを、持ってこい。"
耳の奥で、ザックの言葉が反響する。
────ザックと、最初に出会った場所の中にあるもの、か……。
そう考えた時に、ふと耳の中で、切なげに叫ぶ鳴き声が蘇った。
(そうだ……あの小鳥)
レイは、ポップコーンをあげたあと、傷を縫ってやったあの小鳥のことを思い出していた。その後、突然現れたザックに斬られて、小鳥は死んでしまった。レイとAは、ザックから一度逃げ切った後に、小鳥の体を拾い上げて、その体を綺麗に縫い合わせてから地面に埋めてやったのだった。
(ザックと初めて出会ったのは、小鳥がいたあの場所だ……)
ザックに追われて、Aの手を引いて逃げた時のことを思い出す。あの時は必死だったけれど、小鳥がいた場所のことははっきりと覚えていた。瞼の裏で真っ白な羽が舞う。レイは口を引き結ぶと、歩き出した。
＊
あの時は、周りを見る余裕なんてなかったけれど、今ならこのフロアがどれほど単純なのかが分かる。なるほど、ザックのフロアらしい────と感じながら、レイはフロアを歩き進めた。
壁に貼られた新聞記事は、ザックが起こした殺人事件を扱うものだろうか。路地裏のようなこの景色は、かつてザックが殺人をおかしていた現場の景色なのだろうか。
そんなことを考えながら、小鳥が殺されたあの場所に行くと、そこには一枚の羽が落ちていた。それはきっと、あの時ザックに斬られた小鳥の羽に違いない。そっと拾ってみるが、もうすっかり冷たい。
(……あれから何時間も経っているはずだから、当然……)
レイは少し残念に思いながらも、直ぐに思いなおして、背後の錆びた扉に目を向けた。
ザックが急に現れた場所。すなわち、この扉の奥。レイは少し緊張する気持ちを抱えながら、扉の中へと足を踏み入れた。
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リア(プロフ) - わごむごむさん» コメントありがとうございます！まだまだ未熟なので上手く壊れていく様子が描写できているかが不安なところですが、ここから先もどんどん皆が壊れていきますよ…！よろしければ続きも読んでいただけると嬉しいです(´∀`) (2019年9月19日 20時) (
レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
わごむごむ(プロフ) - 皆がどんどん壊れて行く感じがたまりませんなぁー (2019年9月17日 1時) (レス) id: 10a6ab8e26 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます！夢主の過去は書くうちにどんどん重くなってしまいました(^^; もっとやってもいいのですか！それなら！(違うそうじゃない)責任を押し付ける夢主は私自身書きながらくすりとしてしまいました(´ω｀) (2019年7月24日 21時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 夢主ちゃんの過去が重すぎて…好きです←いいぞもっとやれ(( さりげなく責任をダニー先生に押し付ける夢主ちゃんも好きです(語彙力) (2019年7月23日 18時) (レス) id: 0ad758797f (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - キリンの妖精、キリンロングさん» コメントありがとうございます！まだまだつたない文章ですが、面白いと言って下さり嬉しいです！とても励みになります(*´∀｀*)これからも楽しんでいただけるよう更新していくので、よろしくお願いします(*’ω’*) (2019年7月11日 19時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2019年6月16日 19時
