238話 ページ12
グレイ神父の計画が動き出したのは、それからしばらく後のことだった。集められた『天使』たる殺人鬼たちそれぞれに、地下のフロアが与えられ、Aもその中の一フロアを担当することになった。
他のフロアを担当する『天使』たちとも顔を合わせたが、A自身は、他のフロアの殺人鬼のことなどどうでもよかった。
ただ、殺せればいい。
もはや、殺しという行為はAに強いエクスタシーを植え付けるものだった。犠牲者の悲鳴は理性を打ち砕き、溢れ出る血の色を見るだけで、あまりにも甘美で、溶けてしまいそうな程の快感がもたらされる。
故にか、Aは『天使』としては、あまりに優秀だった。
＊
今、Aが追っているのは、最下層から上がってきた『生贄』だった。体格がいいし、体も鍛えられているようで、おそらく軍人か何かだろう、と程度には思っていた。最初、Aに殺されかけた時には、逆に襲い掛かってきたが、Aの方もそう簡単にはやられない。
たくさんの生贄を追う中で、Aが身につけた身体能力や、凶器の扱いは、正規の軍人に勝るとも劣らない。実際、Aに返り討ちにされたこの軍人風の男は、フロアの中を必死で走りながら、Aから逃げ出そうとしていた。そんな男に、Aはなんの慈悲もなく銃口の先を向けた。
「ダメだよ、逃げちゃ」
それは淡々と仕事をこなす、殺し屋の目だった。
「……さよなら」
それは遊び相手を見つけた時のような、心底楽しそうな無垢な少女の目だった。
冷めきった声に、男が逃げながらも怯えたように振り返った瞬間、Aは躊躇なく引き金を引く。
破裂音と共に放たれた銃弾が男の足を穿つ。膝を砕かれた男は前のめりに転倒した。痛みに叫びながら地面をころがる男の元に、Aはすたすたと歩み寄ると、ナイフでトドメをさした。
しばらくの間、Aは流れ出す鮮血を眺めていたが、やがて男が息絶えたと見ると、深いため息をついた。
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リア(プロフ) - わごむごむさん» コメントありがとうございます！まだまだ未熟なので上手く壊れていく様子が描写できているかが不安なところですが、ここから先もどんどん皆が壊れていきますよ…！よろしければ続きも読んでいただけると嬉しいです(´∀`) (2019年9月19日 20時) (
レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
わごむごむ(プロフ) - 皆がどんどん壊れて行く感じがたまりませんなぁー (2019年9月17日 1時) (レス) id: 10a6ab8e26 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます！夢主の過去は書くうちにどんどん重くなってしまいました(^^; もっとやってもいいのですか！それなら！(違うそうじゃない)責任を押し付ける夢主は私自身書きながらくすりとしてしまいました(´ω｀) (2019年7月24日 21時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 夢主ちゃんの過去が重すぎて…好きです←いいぞもっとやれ(( さりげなく責任をダニー先生に押し付ける夢主ちゃんも好きです(語彙力) (2019年7月23日 18時) (レス) id: 0ad758797f (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - キリンの妖精、キリンロングさん» コメントありがとうございます！まだまだつたない文章ですが、面白いと言って下さり嬉しいです！とても励みになります(*´∀｀*)これからも楽しんでいただけるよう更新していくので、よろしくお願いします(*’ω’*) (2019年7月11日 19時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2019年6月16日 19時
