128話 ページ38
「確か、この場所……開かない扉がもうひとつあった。多分、そこがエレベーター通路なんだと思う」
レイがあるひとつの扉に歩み寄る。それは、確かに最初は開いていなかった扉だ。
しかし、今は鍵はかかっていないらしい。レイが、扉を開けた。
「じゃあ、とっとと行くぞ」
ザックがのしのしとレイの近くまで歩いていくと、半ばレイを扉に向こうに押し込むようにしながら、進んでいった。Aもあわててそれを追いかける。
(このフロアも、もうすぐ終わり。ひとまず、安心はできる……)
そこで、ふと考える。
(……ザックの薬とか、このフロアにはないのかな)
そんなことを考えて、少し足を止めてしまう。
いくらザックと言えど、血を流し続ければいつかは死ぬ。それまでに、早く止血しなければならない。
(止血……か……止血剤と、造血剤が必要かな。あとは、傷口を塞いで……)
「おいA、何やってんだ。行くぞ！」
「あ、……うん」
ザックに呼ばれて、Aは少し先を行っていた二人に駆け寄った。
(キャシーが、薬を持ってるとは思えない。罪人に与えられる薬なんて、ここにはない……あるとしたら、ダニー先生のフロアだ)
少しぼんやりとしながら歩いていたので、ザックとレイが急に足を止めたせいで二人にぶつかってしまう。
「……どうしたの？」
Aはそう訊いてから、すぐ近くの壁に書かれた文字列に気がつく。
『扉を開けたくば、神に名を告げよ』
『己に偽りがないのなら』
『己に宿るその名を』
『そして、己が何者であるかを知れ』
『────ただし、神は穢れたものは要らぬ』
Aは首を傾げたが、レイは取り憑かれたようにその文章をじっと見ている。
ザックがレイの頭を小突くと、「おい、いつまで見てんだ」と言う。
「なんか面白いことでも書いてんのかよ」
「……ううん、別に。……ごめんなさい。もういいから、行こう」
レイがそう言ったので、ザックは怪訝そうな顔をしながらも、歩き出した。
相変わらず、レイの顔は無表情だったが、今の文章を読んでからは、少し強ばっているように見えた。
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鬼灯黒狐(プロフ) - 更新私の方が遅いので大丈夫ですよ(;´д｀)w (2018年10月4日 21時) (
レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 鬼灯黒狐さん» ありがとうございます！最近更新速度がおちてしまっていて申し訳ないです(>_<;)これからもがんばりますので見てやってくださいm(*_ _)m (2018年10月2日 7時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯黒狐(プロフ) - ザック最高...更新頑張ってください！ (2018年9月30日 20時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2018年9月8日 19時
