124話 ページ34
「……やめて」
レイはそう言うと、強ばった表情で赤い拳銃をキャシーに向ける。
「あら、撃ってもいいわよ？ でも、残念！！ 実はその拳銃に弾は入ってないのよ！ でもまぁそれ以前に、罪人のなりそこないのあなたには撃つことなんてできなかったでしょうけどね！ ……ただ、私に拳銃を向けるその態度が気に入ったわぁ」
キャシーはレイを小馬鹿にしたように笑うと、わずかに戸惑いを見せるレイを見やった。
そして、「バーン！」と冗談のように言いながら、銃を撃つような仕草をしてみせる。と、壁に設置された銃の一つから放たれた弾が、精密なコントロールでレイの手から拳銃を撃ち落とした。
レイがその場に座り込んだのを、意地悪い笑みを浮かべて一瞥すると、キャシーはザックを再び見下ろした。
「さぁ……せっかくだから延命して、活きがいい状態で罰してあげなきゃね」
Aは生き生きとしたキャシーを見て、手を握りしめた。砕けそうなほど、歯を噛み締めて、ゆっくりとポシェットに手を伸ばす。
(……わたしのポシェットの中に入っていたのは、本物の銃。中に弾も入っている。絶対に、レイも、ザックも殺させない)
ポシェットの中の、銃に手が触れる。張り詰めるような冷たさに、心臓が高鳴る。使い方は、わかる。何故か手に取るようにわかるのだ。
(怖気付いたりしない。引き金を引くのを躊躇したりもしない。こんなところで、キャシーに殺されるわけにはいかないんだから)
Aは体を支配していくような狂気に身を浸し、カッと目を見開いて、キャシーを睨みつける。
(……殺してやる)
と、その時だった。
「……ダメ」
レイが小さく呟いた。その声に、Aは手を止めた。ゆらり、とレイが立ち上がると、Aと同じようにポシェットの中に手を入れる。
「ザックは、殺させない。だって、私を殺すのはザックだから」
そして、レイはそこから素早く黒い拳銃を取り出して、惑うことなくキャシーに銃口を向けた。
「……その拳銃、どこから！」
キャシーが顔をゆがめると、焦燥をまじえた声で叫んだ。
「────バン」
キャシーがレイの拳銃を見て、それを奪い取ろうと一歩近づいた瞬間、レイは涼やかな声でそう言った。
そして、次には、微塵の躊躇もなく、キャシーの腹部を撃ち抜いた。
キャシーの腹から、血が吹き出す。
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鬼灯黒狐(プロフ) - 更新私の方が遅いので大丈夫ですよ(;´д｀)w (2018年10月4日 21時) (
レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 鬼灯黒狐さん» ありがとうございます！最近更新速度がおちてしまっていて申し訳ないです(>_<;)これからもがんばりますので見てやってくださいm(*_ _)m (2018年10月2日 7時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯黒狐(プロフ) - ザック最高...更新頑張ってください！ (2018年9月30日 20時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2018年9月8日 19時
