121話 ページ31
キャシーはうずうずとした様子でレイに呼びかける。
「ねぇ、もしかして引き金を引くのが怖いの? 面白みのない、つまらない子から脱することが出来ないの?」
レイはなおもじっと動かない。
「撃つなら早く撃てよ」
ザックが口を開いた。それでも、レイはザックを見据えたまま、拳銃を構えることもしない。
「お前が撃たなくても、俺は殺すのを我慢できねぇぞ」
「……」
レイは黙ったままだ。その様子にザックは、抑えきれなくなったようにレイの細い首にカマをかける。
それでも、レイは怯えはしない。まっすぐ、ザックの瞳の中を見つめている。
「……私は、撃たない」
「……そうか。────俺は、殺したくて仕方ねぇよ!」
ザックはやけくそ気味に叫んだ。自分の意志すら制御しきれない、この屈辱的な状況を嘆くような、悲痛な声で。
「……ごめんなさい。ザックに、つまらない私を殺させてしまうね」
「あぁ、本当だ! くそみてぇな気分になるだろうよ! ────撃つなら撃てって言ってんだろ!? この距離なら、間違いなく当たるんだ」
ザックの声は、どこかレイを説得するかのようだった。
「……私は、ザックを撃たない」
「はははっ……この状況で何言ってんだか……そうか、お前は今も死にてぇんだったな」
レイの揺るがぬ意志を伴った言葉に、ザックは無気力に笑いながら、顔を歪ませる。
しかし、レイは首を振った。
「そうだけど、違う。……これは、私の意志」
レイは静かに、首に当てられたカマに手をかけた。そして、ザックを見つめて。
「ザックに殺されるのはいい。でも、あの女……あの女の、思い通りになんか、させたくない。動きたくない。だって……私も、ザックも、────道具じゃない」
ザックが、はっとした表情を浮かべる。
「殺すのも、殺されるのも……ザックと、私の意志だよ」
218人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鬼灯黒狐(プロフ) - 更新私の方が遅いので大丈夫ですよ(;´д`)w (2018年10月4日 21時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 鬼灯黒狐さん» ありがとうございます!最近更新速度がおちてしまっていて申し訳ないです(>_<;)これからもがんばりますので見てやってくださいm(*_ _)m (2018年10月2日 7時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯黒狐(プロフ) - ザック最高...更新頑張ってください! (2018年9月30日 20時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:リア | 作成日時:2018年9月8日 19時