118話 ページ28
レイとAを視界におさめてザックが獣のように荒く息を吐き出す。
(……追い詰められた。打つ手が、ない)
すでに逃げ場がなくなったこの状況に、焦燥に駆られていた心は不思議と落ち着いていく。
ザックは、何も言わない。ただ黙って、レイとAに歩み寄っていくと、カマを振り上げる。
Aはぎらりと光るその凶刃を、妙に冷静な気持ちで見ていた。
ついにそのカマが命を刈り取るべく、振り下ろされようとしたその時だった。
バァン、という音が鼓膜を破りそうなほどの爆音と共に部屋に響き渡る。
それと同時に、ザックがカマをとりおとした。
カマはカラン、というかわいた音を立てて地面に転がった。
そして、呆然とするレイとAの目の前で、ザックの腕から血が吹き出した。
ザックが苦痛の叫びをあげると、傷口をおさえて、その場にうずくまる。
「ザッ、ク……？」
目の前で起こった出来事に、頭がついて行かない。Aは無意識にザックの名前を呼ぶと、目を見開く。
撃ち抜かれた腕をおさえるザックの手がみるみる赤に染められていくのを見て、ようやく思考が覚醒した。
「ザック！」
レイとAが同時に叫ぶ。
「あっははははは！！」
聞き覚えのある笑い声に、Aは顔を上げて、声の主を振り返る。
そしてその目線の先にはやはり、キャシーがいた。
一つ前の部屋と同じように、キャシーのいる場所はガラスの壁に守られている。Aがキャシーを睨みつけるとキャシーはおかしそうに笑ってみせた。
「いいところを中断しちゃって本当にごめんなさぁい。ここは銃殺刑の部屋だから、せっかくだし撃ってあげたの」
「……銃殺刑」
レイがそう呟くと、部屋を見渡してみせる。
「そうよ。ほらみて、たくさんの銃口があなたたちを取り囲んでいるわ。これ、全部ボタン一つで弾が撃ち込まれるのよ。素敵でしょう？」
壁に取り付けられた銃口を見て、Aは唇を噛んだ。四方八方から取り囲まれている。これほどの数では、このフロアの入口のように、避けることはできそうにない。
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鬼灯黒狐(プロフ) - 更新私の方が遅いので大丈夫ですよ(;´д｀)w (2018年10月4日 21時) (
レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 鬼灯黒狐さん» ありがとうございます！最近更新速度がおちてしまっていて申し訳ないです(>_<;)これからもがんばりますので見てやってくださいm(*_ _)m (2018年10月2日 7時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯黒狐(プロフ) - ザック最高...更新頑張ってください！ (2018年9月30日 20時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2018年9月8日 19時
