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111話 ページ21

────俺が、最初に掘ったところからは、数週間前に埋めた赤ん坊らしきものが出てきて、その穴には埋められなかった。


 こうやって、何度穴を掘っただろうか。
 何人の子供の死体を、埋めただろうか。


 そして、あの日は雨だった。傘なんてさしていたら穴は掘れないし、それにあの日の雨は強すぎて、傘なんてさしても無意味だったろう。


 そして、その作業はいつも深夜だった。


 照らしてくれる明かりもないので、辺りは真っ暗で、しかもその日はひどい雨のせいで俺はずぶ濡れになり、泥まみれになった。


 包帯が、汚れて気持ち悪かった。
 でも、替えなんてない。


 人間の腐った酷い臭いに、吐き気を覚えながら、泥だらけのままで、施設の中に戻る。


 妙に静かなリビングをのぞくと、夫婦はすでに眠ってしまっていた。



 ────くそ。



 自分に死体を埋めさせて、夫婦はさっさと寝てしまっているのが腹立たしくて仕方ない。


 はぁ、と。


 雨の音にかき消されてしまうくらい、小さなため息をつく。


 その時だった。


 ふっと視界に眩しい明かりがうつった。



(なんだ?)



 俺が不思議に思って、その明かりの方を振り返ってみると、そこにはつきっぱなしのテレビがあった。俺は、吸い寄せられるように、テレビの前に座ったのだ。


────思えば、そこが分岐点だった。


 それは、少し古い映画だった。


 画面の中で、何が楽しいのかも分からないが、男女のカップルが笑っていた。



(つまんねぇ映画……)



 幸せそうな奴なんか、大嫌いだった。俺はテレビを消そうとして立ち上がった。


 でもその時、男女の目の前に、醜い姿をした化物のような男が急に現れ、そして、その手に持った鉈を振りかざしたのだ。


 何度も、何度も、何度も何度も何度も。


 カップルに鉈を振り下ろして、男は彼らを殺した。


 画面に赤黒い血が飛び散って。


 俺は、テレビに目を奪われ、思わず膝をつく。


 息が、荒くなっていく。


 カップルの悲鳴と、醜い男の笑い声が絡まって、耳が侵される。



 それは、その景色は。心臓が、しびれるような、爽快な景色で。



────ドクン、と。



 今まで動いているかもわからなかった心臓が、痛いほどに強く、強く鼓動して鳴り止まない。



(……あぁ。そうか……)



 ようやく、気がついたのだ────。



(こうすりゃ、いいんだ……)



 簡単なことだ。

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鬼灯黒狐(プロフ) - 更新私の方が遅いので大丈夫ですよ(;´д`)w (2018年10月4日 21時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 鬼灯黒狐さん» ありがとうございます!最近更新速度がおちてしまっていて申し訳ないです(>_<;)これからもがんばりますので見てやってくださいm(*_ _)m (2018年10月2日 7時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯黒狐(プロフ) - ザック最高...更新頑張ってください! (2018年9月30日 20時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2018年9月8日 19時

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