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45話 ページ46

第一墓場の亀裂の中に入っていく。そして狭い通路を進んでいくと、また小さなメモが落ちていた。



 "戸惑うことは何もないよ。わかるでしょ?ボクと君の望みは、ピッタリなんだから!"



「また、メモ……」


「文字の形が一緒……さっきのメモと、同じ人だろうね」



 レイはメモをポケットに突っ込むと、奥へ続く部屋のドアノブに手をかけた。



「……A」



 レイに名前を呼ばれて、Aは首をかしげた。



「……あのね、この先、ものすごく暗い。Aは大丈夫? ……暗いところ、苦手でしょ?」


「……レイ、どこで知ったの? わたしが暗いところ苦手だって」


「……履歴書に書いてあったの」



 Aは少し目を伏せた。やはり、履歴書はあった。ただ、レイが見せなかっただけで。



「……履歴書、見せてくれない?」



 そう言うと、レイはうなずいて、ポシェットの中を探る。そして、一枚の紙を引っ張り出した。



(……ほとんど塗りつぶされてる。それに、空欄も多い。レイが、見せたくなくなったのも、分かるかも)



「……ありがとう、レイ」



 すぅ、と深呼吸して、レイの手を握る。



「レイチェル。外に出るまで、わたしはあなたを殺させない。ザックとレイの約束を果たすためにも、きっと守ってみせる」



 真っ直ぐに、レイの目を見つめる。



「レイにとっては余計なお世話かもしれないけれど。でも、わたしはあなたを守りたいんだ」



 真剣な言葉を吐くことは少し照れくさく感じた。レイの手を握った自分の手が、少しずつ熱を持つ。



「履歴書に書いてあるとおり、わたしは暗いところが苦手。だから、できればエスコートしてほしいな? ……レイがいれば、きっと大丈夫だから」



 そこで少し恥ずかしくなってレイの手を離す。レイは相変わらず表情が薄かったけれど、真剣な顔でうなずき返してくれた。



「……ありがとう。じゃあ、行こう。ザックが凍えちゃう」



 A自ら、ドアを開ける。その先に広がる虚無のような黒に少し怯むが、レイがライトをつけてくれた。それだけでもかなり勝手が違う。確実に、一歩、また一歩と進んでいく。真っ暗闇の中で、また子供の笑い声がした。

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暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます!この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね!色々試してみますね、ありがとうございました! (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね!ところで、背景の色を変えたりはしないのですか?それやると面白さが上がると思いますよ! (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2018年8月4日 21時

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