39話 ページ40
喧騒の中、レイはようやく答えにたどり着きそうになっていた。ひらめいた瞬間、奥の扉の鍵が開く音がする。
(……？)
そっと扉に近づいて、ドアノブに手をかけて、ゆっくりと捻る。ガチャ、と小気味のいい音がして、扉が開いた。
(……開けてくれたんだ)
レイが先に進むと、真っ暗な通路が奥に続いているらしかった。レイはポシェットを探り、ライトを点ける。古いライトなのだろう、少し薄暗い。それでも先に進むと、また道が開けた。
しばらく歩けば、少し広い、部屋らしき場所にたどり着く。あちこちを照らしてみると、分厚いファイルが机の上に置かれているのを見つけた。そっと手に取って、ページをめくる。どうやら、大量の履歴書がファイリングされているらしい。しばらくめくっていき、とある一ページで目を止める。
(……私の、履歴書だ)
履歴書など見なくても、自分のことも、自分の過去も、自分が一番よく知っている。そのままページをめくって、最後の方のページまでたどり着いた時、レイは再度手を止めた。
ザックの顔写真が貼られている、一枚の履歴書。つまりこれはザックの履歴書だ。ざっと目を通す。ザックの過去、育った環境、そして、彼が起こしたらしい数々の殺人のことが書かれていた。その中で特に目に付いた文章があった。
(────人の感情に酷く反応する傾向がある、か……)
なんとなく納得する。そしてまたページをいくつかめくると、ファイルの隙間から、まだ閉じられていない履歴書が落ちた。床に落ちたその一枚を拾う。
────『A』
(……これ、Aの履歴書だ)
だが、履歴書はほとんどが真っ黒に塗りつぶされていた。元から空白も多かったようだが、それにしても、名字すら塗りつぶされているとは。履歴書に残っていたのは、名前、身長と、備考欄に書かれた一つの項目のみ。
(────暗闇を酷くおそれる……)
思い返せば、B5でもそんな節を見せていた。
(……とりあえず、これを持っていこう……)
履歴書をポシェットの中に入れそして、まだ調べていなかった部屋の奥へと進んでいった。しかし、部屋の奥は狭い通路が続いていて、突き当たりの扉は固く閉ざされていた。なぜか、そこの床は丸い形にくぼんでいる。
(なにかの、仕掛け……？)
辺りを調べたが、何も出来そうにない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 276人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (
レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます！この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね！色々試してみますね、ありがとうございました！ (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね！ところで、背景の色を変えたりはしないのですか？それやると面白さが上がると思いますよ！ (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リア | 作成日時：2018年8月4日 21時
