36話 ページ37
亀裂を抜けると、道が開け、やがて狭くも広くもない部屋が現れた。
中央には大きな作業机があり、墓石の目録や、墓石のデザインが書かれた紙が放置されている。それらの紙類は床にも散乱していた。
「わたし、床の方見るから。レイは机の上見てくれるかな」
「分かった」
レイの返事を聞くと、Aは床に散乱した紙を集めて一つにまとめる。
スコップやハンマー、つるはしの注文書。
墓石の目録。
墓石のデザイン。
何らかの図面。
(ダメだ。なんの情報も得られない)
部屋を見回すと、荒削りの岩や、工具の入った箱、真新しい墓石などがいくつも置いてあった。奥へと続くドアを開けようとすると、鍵がかかっているようで開く様子がない。鍵穴もなく、お手上げだ。最後にふたのついた箱をあけると、中にライトが入っていた。
(……ちゃんと点く。まだ使えそう)
何度かライトを点け消しして、まだ使えそうなことを確認する。そこで、できることがなくなった。
「レイ。これ見つけたんだ」
「……ライト？」
「まだ使えるよ。見つけれたのは、これだけ」
「私も、あんまり手がかりが見つからなかった……一度、戻ろうか」
「分かった」
部屋を後にして、亀裂に再び体をねじ込む。そして、元の部屋に戻った時だった。
ガン、ガン、ガン！！！
「……ザック、何してるの」
ザックは自分の墓石を、蹴ったり、叩いたり、あるいはカマを振りかざして、大暴れしていた。
「あぁ？ この墓石見てると、イライラすんだよ。ぶっ壊してやりてぇ」
「先に武器が欠けちゃうよ」
ザックはため息をつくとカマをゆっくりとおろす。
「うるせぇな、わぁってるよ。それより、奥はなんかあったのか？」
「右の奥に部屋が続いてたよ。でも、鍵がかかってて、鍵穴もなかった」
Aがそう報告する。ザックはそれをほとんど聞き流して、もう一度亀裂を指さした。
「そうかよ。なら、もっと探してこいよ」
「こっちでも何かないか、探してほしい」
レイがザックにそう言うと、ザックは露骨に嫌そうな顔をする。
「あぁ？ 俺が仕掛けなんか解けるわけねーだろ」
「うん」
レイの淡々とした返事にザックは苛立ったように頭を掻きむしる。
「わぁったよ！ その代わり、こいつをここに残せ！奥はお前一人でいけ！」
こいつ、と呼ばれて指さされたのはAだった。
「……わたし？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 276人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (
レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます！この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね！色々試してみますね、ありがとうございました！ (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね！ところで、背景の色を変えたりはしないのですか？それやると面白さが上がると思いますよ！ (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リア | 作成日時：2018年8月4日 21時
