31話 ページ32
「……」
「……」
「……」
B4へ向かうエレベーターの中は、あまりにも静かだった。誰も何も言わない。Aは静寂に耐えきれず、口を開いた。
「あの……殺人鬼さん。自己紹介、しない?」
「あぁ? てか、なんだ? 殺人鬼さんって」
「だって、わたしレイの名前は知ってるけど、殺人鬼さんの名前は知らないから……名前だけでも、知りたいんだけど」
助け舟を求めてレイの方をちら、と見ると、レイもうなずいた。それを見て殺人鬼ははぁ、とため息をついた。
「ザック。そう呼べ」
ザック。それがこの人の名前なのか。それとも、あだ名なのだろうか。
「ザック。わたしはA」
「おー……」
「……何その反応」
「あぁ?じゃあどうすればいいんだよ」
「いや、別に……」
話の内容がない。なんだか呆れはてて、次にレイに目配せした。
「レイ。レイチェル・ガードナー」
「おー……」
既視感のある景色に、少し笑ってしまう。それにしても、最初目覚めた時は一人だったのに、今はもう三人だ。
(にぎやかな"旅"になりそう)
クス、と笑うとザックが顔を引きつらせてこちらを見ていた。
(そうだ、笑ったらダメなんだった。結構難易度高いよね、笑ったら殺されるって)
無表情を貫くレイを尊敬する。まだ、何があったのかは聞けていない。
次はB4。次のフロアにも殺人鬼がいるはずだ。
そして、その殺人鬼はほぼ間違いなく、こちらの命を狙ってくる。
しばらくして、エレベーターがとまった。誰にも命を狙われない、ぬるま湯のような時間は終わりだ。
ドアが開いたその先には、ひんやりとした冷気と、土臭さが広がるフロアがあった。
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暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます!この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね!色々試してみますね、ありがとうございました! (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね!ところで、背景の色を変えたりはしないのですか?それやると面白さが上がると思いますよ! (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リア | 作成日時:2018年8月4日 21時