17話 ページ18
フロアはとても綺麗だった。床は清掃が行き届いており、塵一つないほどピカピカに磨かれている。明らかに誰かが掃除した後のようだった。が、Aにとって問題はそこではない。
(……暗い)
電気がついていないせいで、フロアはとても暗かった。暗いところに来るだけで体が震えることにAは気がついていた。先ほどB6で、あの殺人鬼に追われた時。箱の中に隠れたが、その時も光の届かない暗闇に、酷く不安な気持ちになった。
(……わたしって暗いところ苦手なのかも)
暗いところが苦手かどうかすらも記憶がないので分からないが、自分の意思とは関係なく体が震えるということは、やはり苦手なのだろうか?
思わず、レイの服の袖をぎゅっと握っていた。レイは少し不思議そうな顔をしたが、何も言わずにそのまま歩き出す。
少し進むと、僅かながら明かりがついていたのでほっとする。暗闇の中では息も苦しかった。Aがすこし油断して、息を吐き出した時だった。診察室、と書かれた扉が開き、背の高い誰かが中から現れた。
(……!)
Aも、レイも、反射的に身を引いて、逃げる体勢をとっていた。と、声の主は慌てたように二人を呼び止める。
「待つんだ、レイチェル! 僕だよ!」
男が叫んだ、レイチェルの名前に足を止めた。男が一歩、こちらに踏み出してくる。
「レイチェル、僕のことを忘れたのかい? ほら……僕が君を診察していたじゃないか。よく思い出してごらん?」
この男は、レイの知り合いなのだろうか。当然、Aの記憶の中にこのような男はいない。
「……私の、診察をしてくれていた先生?」
「そうだよ。ほら、────ダニー先生だ」
レイの名前を呼ぶ男は優しげな声で呼びかけた。レイは記憶を探るかのように少し黙っていたが。
「先生、ダニー先生。……私の、カウンセリングの先生……」
どうやら、本当にカウンセリングの先生らしい。つまり、知り合い。
(……なんか怪しいけど、本当に知り合いなんだ)
ダニーと名乗る男を最初に見た時、怪しいと思ったことに少し罪悪感を感じる。この男を、信頼してもいいのだろうか。
ダニーの目にはレイしかうつっていないようで、Aのことには何も触れない。Aはダニーを観察しながら、思考を巡らせていた。
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暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます!この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね!色々試してみますね、ありがとうございました! (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね!ところで、背景の色を変えたりはしないのですか?それやると面白さが上がると思いますよ! (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リア | 作成日時:2018年8月4日 21時